満足度★★★★★
鑑賞日2017/01/20 (金)
座席G列7番
【春。いつかの雨の匂い】
基本的にはある時期のいろいろな人々を見せて横に拡がる「夏。」に対して、その中の一組の夫婦の過去とその後を見せ縦に掘り下げる「春。」と差別化したのが妙案。
最初は両作の関係を「T」の字型かと思ったが途中で「÷」かな?に代わり最終的には「十」だったか、的な。(ワカるかな?:いずれも横棒が「夏。」)
登場人物が少なく物語の軸が1本通っているだけにこちらの方がワカり易いかも(「夏。」の手法を知った上で観ればなおさら)。
で、実はこちらの断片は「夏。」にちりばめられていて、そんなことも含めてスターウォーズのep.3(シスの復讐)あるいはローグ・ワンを観るとep.4(新たなる希望)が観たくなるように、これも2作を観るとまたもう一方を観たくなるという……謀ったな!(笑)
褒め過ぎてもアレなんでちょいと釘。
夏、春とも稀に「会話」でなく「単なる台詞の応酬」になったのが惜しい。
芝居は基本的に次に〈自分が〉言うことが決められていて本人は言うべきことがワカっているけれど、実生活での会話では相手が思いもよらないことを言ったり、自分が言いたくないことを言わなくてはならなかったりするワケで、間が空いたりゆっくりになったりする……その緩急や間がないと不自然に感じられてしまう。
皇帝ケチャップの芝居は会話の中にちょっと巧い言い回しが入り、でもそれが極めて自然で大笑いを呼ぶあざとさのようなものがないというのが大きな魅力と考えるので、間の取り方など更に精度を上げればもっと良くなると思う。
あと、本作のように正続の関係ではない関連作が残念(?)なのは、「観る順を逆にして観直す」ことができないところ。
観た記憶を一旦保存して忘れて逆順で観てから保存した記憶を戻して両者を較べることができたらなぁ……などとSFチックなことも考えてしまった。(笑)