誤解 公演情報 アルシェ提携公演「誤解」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2017/01/23 (月)

    座席1列

    重い話だ。円企画の皆さんに、コトウロレナさんが客演の初日を観ました。
    母娘の2人の演技がよとてもよい。娘マルタ役の乙倉遥さんは、その容姿にはチラシなどで見える明るさ健康さは微塵もなく、同じ人物かと思われるような役作りだ。母は「疲れた」という言葉をただただ繰り返し、ゆっくり休めることのみを望む。それでも、娘の、太陽のある誰もいない白い海岸での生活の夢に、引きずられるように殺人を重ねていく。その先にあったものは何か、という話なのだけれど、そこには悔悟の情や絶望、ましてや愛などというものはない。久しぶりに触れるカミュの世界、そして、溢れるばかりの観念の洪水に酔いしれました。
    舞台装置も狭い空間を巧妙に使い、ホテルのフロントと客室、川を巧妙に見せる。終始重苦しい照明、とはいっても決して完全な闇を作ることなく、薄く目に入る役者の姿は、彼らが生者であることを否定しているようで薄気味悪い。それと対照的なツリーの装飾照明は、マルタの心に僅かに灯る生への渇望を観るようだ。
    ただし、セリフの難しさ(2字熟語がやたらと多い)から、初日ということもあり、立川さん以外(彼のセリフ1言としかないのですが)、皆噛んでいたので今日以降頑張ってください。

    ネタバレBOX

    この芝居、母と召使には名前がない(原作は知らないけれど)。召使は本当にいたのか?彼は母娘に付き添うただ生の意思のみを見守る神ではなかったのか?(最後のセリフが示すように)そして母も存在したのだろうか、彼女は息子との20年間の空白を、マルタとの20年の生活よりも優先させてしまう。そこには母というエゴしかない。
    マルタが息子ジャンの妻マリアに浴びせかける、血を吐くような言葉。そこではマリアの説く愛や善、そして怨嗟の言葉もただただ空しい。

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    2017/01/24 14:15

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