七人の語らい(ワイフ・ゴーズ・オン)/笑の太字 公演情報 Aga-risk Entertainment「七人の語らい(ワイフ・ゴーズ・オン)/笑の太字」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    とにかく面白くって笑って、楽しんだ。
    今までありそうでなかった視点、角度を少し変えた視点からの観察力が、この劇団の特色であり、強みであろう。
    ホントに上手い。

    シットコムの前提条件を笑いにするのは、誰でもが考えつくであろうし、それを作品の中で取り上げたものもある。しかし、これを公然と(笑)全面に打ち出した作品はなかったのではないか。しかもシットコムを得意とする劇団が、だ。
    もう1本も「お得意」の「屁理屈」が炸裂しつつ、「パクり」とか「リスペクト」とかいうあたりを上手く見せた。

    ネタバレBOX

    いきなりの展開に大笑いした。リアルタイムで進行させ、観客の気持ちも乗せていく上手さがある。さすがだ。
    観て気がついたのは、この作品で突っ込こまれていること、つまり、「いくらなんでも、それ見えているじゃないか」ということも含めて、コメディとして楽しんでいるということ。
    出会ってはいけない者同士が互いに見えているのに、「見えていけない」という演劇のルールに従っているだけであって、実は、そういうウソも含めて、シットコムとして楽しんでいたということに、気づかされた。
    なので、この作品の突っ込みは、観客の誰もが思っていることなので、合点がいき、笑いやすいのだ。
    いかにもありそうな「翻訳モノのコメディ」っていう雰囲気もいいねー。

    だから一見、シットコムを上演するアガリスクにとって禁じ手のようなこの作品は、「そのことを熟知している」アガリスクだからこそ、出来たことであろう。

    今回の上演は、『七人の語らい(ワイフ・ゴーズ・オン)』と『笑の太字』の2本立てであるが、これはシットコムに対する、アガリスクの考え方の表明ではあり、別角度から見たコメディの考え方であると思うのだ。

    ラストを、変顔でシツコク笑わせる、「最後、それで笑わせるのかよ」という、シットコムに対しての、卑怯な感じの出し方も上手い。
    ただ、残念なのは、もうひとつシットコムへの愛情がストレートに出ていなかったことだ。

    ラストは、いかにもこうしたコメディにありがちなオチを見せたが、そうではなく何かアガリスクの考える、気の利いたオチが欲しかった。
    それがないので、単にシットコムにありがちの、突っ込みどころを、突っ込みました、になってしまっている。


    『笑の太字』は、見事に「笑の大学」のパターンを踏襲しながら、アガリスクらしい、いつもの屁理屈(笑)が展開される。

    「ああ、そういえば、三谷幸喜って、そうだったな」と気がつく。
    「同業者」として感じるどころがあったのだろう。笑いの中に、主張というか、考え方を表明している。

    たぶんこの作品も「屁理屈」が展開されるのだろうと思っていたので、ホンネを言えば、屁理屈と言えば、アサコシさんなので(笑)、彼のチームを観たいと思っていたのだが、スケジュールが合わず、Bチームになってしまった。

    しかし、甲田守さんがとてもいいのだ。アサコシさんのような屁理屈顔(失礼・笑)をしてないので、真面目な学生が考えてきた、という感じになっているのだ。しかもその表情からは「何を考えているのかがうかがい知れない」のだ。
    だから、指導教官の困惑にうまくつながる。津和野諒さんもこれには対話しやすかったのではないか。
    指導教官を演じた津和野諒さんもとても良かった。学生を演じる甲田守さんの台詞に対して、とてもいいタイミングとトーンで突っ込むのだ。とてもいいコンビネーションである。
    なので、指導教官が、徐々に学生の屁理屈に引き込まれていくさまも納得度が高い。

    この2人の組み合わせを選んだ演出の巧さがわかる。
    コンビが異なれば、また違う化学反応があることを感じさせる。これはもう、他のチームも観たくなってしまうのだ。
    残念なのは、わずか45分の作品で、そこまでは1シーンでリアルタイムに進行していたのが、ラスト近くになって、2回も暗転を入れたことだ。これはあまりにもカッコ悪い。

    また、最後にもうひと笑い欲しかったのはわかるがオチ自体がイマイチ。
    このオチではあまり納得度も低く、あまり笑えない。

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    2017/01/09 19:03

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