満足度★★★★
鑑賞日2016/04/08 (金)
辺境の惑星で質素に暮らしている科学者のもとに「地球に帰りアンドロイド開発に力を貸して欲しい」とかつての同僚が訪れるが…な物語。
板張りの床やランプの灯を点す廃クレーンのアーム(?)などの美術も相俟ってレトロSF的な雰囲気は良い。
が、愛した相手が眠る惑星に残り死を選ぶ主人公…という結末は大いに不満。
そういう浪漫を解さないではないが、自らの能力をも埋もれさせて愛した人に殉ずるとは何と身勝手で情けないのだろう?
元同僚は力ずくでも地球に連れ帰れよ!と思ってしまう。
考えてみると、このナルシシズムは主人公の命と引き換えに多くの人が救われるという安直な結末(リメイク版の「N本C没」とか)とも通ずるもので好みではないんだなぁ。
一方、収穫は「演劇表現」について考えるヒントを得られたこと。
登場するキャラクターの1人が実は精巧なアンドロイドという設定で、登場した時にうんと控え目にロボマイムを取り入れた動きをして観客にはそれとなく伝えるのだが、その後の台詞に「(アンドロイドだとは)言われないとワカらない」という台詞が出てくるのだ。
劇中では人間そのもののようだが観客にはアンドロイドらしく見せるというある意味二律背反……これこそ演劇表現の面白さなのではないかしらん?
ちなみにそれを絶妙な匙加減で演じたのは楓朋美嬢でありました。