満足度★★★
昼の世界が思い通りにいかないなら、せめて眠ってみる夢の中では、思い通りに生きてみたい。これは、そんな「夢のような」カウンセリングを行う医師と、その患者たちの物語だ。過去に囚われて歩き出せない兄弟と、空っぽのまま歩き続けてきた少女と。
心安らぐ夢に救われる者もいれば、夢と現実のギャップに苦しむ者もいる。あるいは夢の世界に溺れ、現実から逃げてしまいそうになる者もいる。
単純なハッピーエンドとはいえない。けれど、新しい一歩を踏み出していく人々と、とりあえず自分の足で立ち上がろうとする人と、誰もがそれぞれの傷を抱えながら、それでも生きていく。……そういう物語。