満足度★★★
鑑賞日2016/08/26 (金)
お笑いの方が主宰をされている劇団だけあって、アドリブを含めた笑いが多めになっている。いや、6ヶ月連続公演でさまざまなタイプの芝居を上演されたそうなので、笑いの多い芝居ばかりではなかったのだろうけれど、今回のはハートフルコメディとのこと。
前説から登場した劇団主宰マスダヒロユキ氏が演じたのは、発掘分野で才能と実績のある、やや強引な男。彼とともに発掘に携わり、ほのかな想いを抱く女。仕事に夢中な彼に不安を感じている恋人。彼の才能と才気に嫉妬する教授。
そういう、彼を巡る人間模様を一方の軸に、貴重な遺跡であろうと期待される現場での捏造疑惑と発掘調査の存続を、もうひとつの軸に物語は進む。
発掘チームの面々に加えて、女性官僚と不動産屋、落ち目の歌手とマネージャー、発掘への資金援助を検討している企業の社長とその恋人、花火見物の場所を物色するギャルズなどが入り乱れ、ややドタバタ気味に笑わせていく。
そして、それぞれが収まるべきところへ収まった印象のあるラストシーンで、登場人物たちが花火を見上げる。賑やかに笑いと混乱を重ねてきた物語が、ある種の充足感を感じさせながらしっとりと終わりを迎える様子が印象に残った。
観終わってなんだか花火が見たくなった。