ミュージックドラマ 「あなただけ」 公演情報 駐日韓国文化院「ミュージックドラマ 「あなただけ」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2016/11/29 (火)

    本公演は、2016年から2018年までの3ヵ年を「韓国訪問の年」に制定したことを記念し、韓国文化院で特別公演として上演された。ミュージックドラマとは、普通のミュージカルと違い、大衆ヒット曲と演劇を掛け合わせた劇のことを指すそうだ。韓国の90年代のヒット曲が劇中にちりばめてある。
    本来、韓国での上演は3時間であるが、それを2時間に短縮している。
    公演(台詞)は韓国語であるが、舞台両脇にモニターが設置され日本語訳が出される。
    (上演時間2時間)

    ネタバレBOX

    舞台セットは、上手側に街灯と花壇、下手側は樹木とベンチが置かれている。奥の壁面を幕にし夜空・(三日)月を映し出し、とても綺麗な描写として印象付ける。

    梗概…慶尚道に住むとある夫婦の結婚生活を描いた物語。夫婦の新婚で暮らすシーンから、妊娠(娘)、出産、娘の結婚などを経て、老齢していくまで、喧嘩していがみ合いながらも仲睦まじく暮らしていく様子を描いた物語。90年代に韓国で流行した名曲で構成された、全世代の人が楽しむことができる公演になっている。

    物語としては、坦々とした夫婦生活に見せ場があまりなく、劇的ではないことから緩慢で飽きられそうな展開になり勝ち。ところが本公演は、本当に何処にでも居るような夫婦の姿を奇を衒(てら)うこともなく普通に描いている。波風があったとすれば、娘の結婚相手が障碍者であったこと。娘の(将来)結婚生活を心配する親心が見えるが、その心配も乗り越え娘は幸せな結婚をする。

    芝居を面白く観せるには事件のようなことが必要であろうが、殊更に出来事を起こすことなく日常の暮らしの中に幸せがある。そんな当たり前のことを年齢とともに滋味を醸し出し紡いで行く。世界中の多くの夫婦・家庭の在りよう、普遍的とも思えるような人間讃歌がそこに見える。変化に乏しい堅実な市民生活、だからこそ観客(自分)の生活に同化して安心して観ていられる。その劇中の生活は自分自身のように思えるのだから…。

    演者はわずか4人…カン・ボンシク(夫役)、イ・ピルレ(妻役)、カン・ウンジ(娘役)、ハン・ヨンソク(結婚を控えた娘婿役、一人多役)。その登場人物はほぼ同じ人物が年齢を重ねて行く。その老齢化していく姿(変化)も見事である。若い時のダンス、歌唱と高齢になった時の違いもしっかり演じ分ける。その演技を舞台技術がしっかり支える。音響はもちろん音楽を指すが、照明は平凡な生活に色づけし抒情豊かにしている。

    次回公演を楽しみにしております。

    0

    2016/12/31 14:33

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大