モグラ…月夜跡隠し伝… 公演情報 劇団桟敷童子「モグラ…月夜跡隠し伝…」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2016/12/24 (土)

    座席1階C列3番

    12月24日午後、すみだパークスタジオで上演された劇団桟敷童子の『モグラ 月夜跡隠し伝』公演を観てきた。これは、知人で実力はの役者であるもりちえが所属劇団であり、今回も劇中の要になる役の一つである山月法師役で出演していた関係からである。


    物語は、大雑把に言えば伝奇浪漫物語。脱獄した男を捕らえるため、隠れていると思われる泥捨番場という辺境地に向かった、謎の女・興梠に率いられた在郷軍人達と辺境地の住人、そして脱獄した男によって繰り広げられる混沌劇。貧しい村でありながら、山月法師という異彩を放ついわば能力者集団がいたり、死者が鬼となって蘇ったりという伝奇的な物語に、追っ手となった在郷軍人の一人と脱獄男が実は幼少時代故意に取り違えて育てられており、その在郷軍人が知らずに妹と肉体関係を結び恋愛的な感情を持ち合わせてしまったという近親相姦譚が交錯したり。内容的にかなり複雑で混沌としているのであるが、よくよく客観視してみると、この劇団が過去に上演した『風撃ち』『海猫街』『エトランゼ』の流れをくみ、それらで演じてきた内容の集大成的な作品であることが分かる。


    役者では、主役の在郷軍人を演じた松田賢二、脱獄男を演じた稲葉能敬、在郷軍人を率いる謎の女を演じた板垣桃子、主役の姉で脱獄男の妻でもある女(山月法師の一人)を演じた松本紀保の演技が抜きん出ており圧巻。この四人の熱演により、脚本の矛盾点や雑な部分が吹き飛んでしまった。

    四人以外の役者も欠けては話の内容に不都合が生じるであろうがごとき存在感のある役ばかりで、観ているものを舞台に釘付けに、時折観客から笑いを取るシーンも織り交ぜる余裕も魅せた。

    これだけエネルギッシュな舞台を作ってしまうと、次回作でのテンションの維持が大変そう。年末、よい舞台を魅せてもらった。

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    2016/12/29 22:36

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