恋しくて 公演情報 デッドストックユニオン「恋しくて」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    もてる男の心の内が悲しい・・・・・
    24日午後、雪の中、ウッディーシアター中目黒で上演されているデッドストックユニオンの『恋しくて』を観に出かけた。この劇団を観に行くのは前回公演『民宿チャーチ14』に続いて二度目。観るようになったきっかけは塚田しずくが出演しているからだったが、なかなかしっかりとした舞台を観せてくれる劇団という印象を受け、お気に入りの劇団の一つとなった。


    さて、今回の公演は一口に言えばラブコメディ。父親の築き上げたスーパーを副店長として守る鎌田小百合(棚橋幸代)は、映画の仕事がしたくて家を出て行った弟・昭夫(元木和哉)が戻ったら彼を店長として店を続けていく夢を持っている。そんなスーパーに、ある日ひょっこり昭夫が帰ってきた。喜ぶ小百合と実は昭夫の元カノでベテランパートである加藤由紀子(三崎千香)。しかし、昭夫が戻ってきた目的はスーパーを止めてマンションを建て、コンビニを経営する傍ら映画を撮る計画の実行のためだった。そのため、昭夫には映画業界での恋人・松本真奈(太田知咲)も付いてきて、なんとスーパーのバイトとして昭夫の元に居座る。スーパーを止めるには姉を店長代理・藤村博(星達也)と結婚させることが早道と画策する昭夫と真奈。逆に、昭夫とパートの江頭美雪(森崎ひろか)を結婚させたい姉。昭夫を巡る由紀子と真奈のせめぎ合い。そうした動きを何気に知ってしまった元万引き犯のガードマン・岩倉衛次(渡辺熱)。渡辺の機転で昭夫の計画は頓挫するが、昭夫の持っていた父親への思いも明らかになる。父と息子の熱き親子愛を再認識させられるラストシーン。自分を慕う女性達への思いと、自分が慕う父親。昭夫の胸の内が観る者の心を打つ。


    熱演は、昭夫役の元木、由紀子役の三崎、真奈役の太田、藤村役の星、そして岩倉役の渡辺であろう。作・演出は、この岩倉役を演じる渡辺であるが、作りたいと思っているテーマが大きすぎるというか、テーマを語る場の絞り込みが苦手というか、笑いを誘うポイントを押さえるのは上手いのだが、全体的に間延び(特に前半)した結果、2時間を超える作品となってしまった。前半に比べて後半の間の良さや脚本の密度が適度に良くなったのはラストを盛り上げようとする作り手側の山場設定の結果だろうが、全体的にもう少し締まった舞台を期待したい。そうすれば、2時間以内の収まる濃い作品になるだろう。まぁ、逆にやや緩い印象の舞台がこの団体の持ち味と感じているファンもいるのだろう。岩倉の成長が劇団の成長へと直結しているように思われる。トータル的には良い舞台を観せていると言える。次回公演が楽しみである。

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    2016/11/27 13:55

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