第17回公演 『モラルハザード』 第18回公演 『Ctrl+z ダイアリー』 公演情報 劇団天然ポリエステル「第17回公演 『モラルハザード』 第18回公演 『Ctrl+z ダイアリー』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    面白い!【Ctrl+z ダイアリー】
    現代社会の深刻な問題を取り上げた内容であるが、どちらかと言えばそこからの再生・再起といった描き方になっていた。その裏返しの人生で切なくなる感動シーンに泣ける。もちろんテーマをしっかり捉え問題の所在も確かに観える。
    当日パンフの相関図は分かりやすく、物語に集中できるのが良い。
    (上演時間1時間30分)

    ネタバレBOX

    素舞台...物語は中学時代の思い出したくもない出来事に立ち向かい、未来を変えるもの。もっとも自分の過去を直接変えられないが、他(愛しい)人の過去を刺激し自分の未来へ影響させる。

    梗概...2036年の主人公・芥頼道(中澤隆範サン)は仕事も恋愛も順風満帆。ところが突然彼女(社長令嬢)から別れ話が出され逆上してしまい、清掃部署へ異動になってしまう。彼女には上辺だけの男のように思われた。意気消沈しているところへ科学者2人が現れ、過去(2016年)の中学時代の自分(ラフティ中山サン)に邂逅する。当時、見た目も存在感もパッとせずベンチーズという非モテグループに属していた。クラスにはいじめっ子・氷室晶(やんえみサン)等がいたが、一方正義感溢れる学級委員・御園葉子(碧さやかサン)が牽制していた。ひょんなことから頼道は葉子と親しくなるが...。正義感の強さは孤高によるものであったが、他人との関わる楽しさを知ったことで弱みも出来た。晶は頼道を苛めることで葉子を追い詰める。親しくなった仲間が自分を無視し、心の痛み淋しさを知らされ不登校になる。その後、転校し図書館経営(勤務)の中で科学者を育て上げる。

    過去の自分の情けない姿と、現在の自分の姿が重なり上辺だけの努力をしていたことを知る。そこには人に影響を与える力・魅力が伴わない、という教訓臭さも感じられた。
    素舞台であることから情景描写は弱くなるが、それを上回る印象付け...役者は登場人物のキャラクターをデフォルメする表現で、しっかりヒューマンドラマとして仕上ていた。ブラック・コメディとしての苛めの典型的な場面(親しい友人が無視・見ぬふり、教師による苛めの存在否定・屁理屈など)も挿入することで、物語に厚みを持たせているところが良い。

    2036年(35歳)の自分、2016年(15歳)の自分を同時に登場させるという力技、20年後の自分が愛しい女性・葉子(15歳)を励ま(逃が)すような会話はご都合主義かも。そんなことは卑小とも思うが、この直接的な収束ではなく、もっと間接的な方法、その工夫があれば...その過程にもっと興味が持てたと思うが...。愛しい女性の過去を変え未来も変わる。その結果、自分の未来にも影響・変化しているリンケージが面白い。同時に別の世界で創られた科学者2人が存在しなくなるという切なさ。それを承知で手助けしたのも科学者である。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2016/11/26 21:16

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