満足度★★★
これでいいのか??
あらすじの筆頭に似掲げられている社会性のあるドラマ。確かに西南諸島の諸問題を扱っているが、切実さがまるでない。坂手洋二どうしてしまったのだろう。二十年前は、それこそさまざまな社会問題を、物語の中に取り込んでしかも一種独特の叙情性もある舞台を作っていた。「屋根裏」を最後に続く『社会問題劇』は、もう誰もがよく知っている情報を並べて悪代官裁きをするようなドラマばかりだ。社会劇作家はほかにいないと思っているかもしれないが、中津留や古川のように繊細な才能を持つ作家が出てくるとこの精選されていない情報過多、妥協的な結末ではもう、若者はついてこない。それにやたらに体言止めが多く、役者で台詞割にしたような台詞のくせも気になる。最初は、情報ならそれで却って効果があるかとも思っていたが、これだけ連発されると、役者をどう考えているのか疑問になる。ベテランにはちゃんと台詞が書いてあるではないか。今回は、舞台俳優としてはなかなかの力量のある馬淵英里何を連れてきているのに、なんだかよくわからない役になってしまった。
本心を言えば、坂手、鐘下、は大いに期待していたのだ。それだけにこういう作品を見せられると奮起一番、あたらしい世界を目指してほしいと思う。劇団を持っていてその売りが固定していることが足かせになっているのかもしれない。それでは客足が遠のいたのに銘柄にこだわった三劇団と同じではないか。