魔女と賢者と永久の薬師 公演情報 劇団ゴールデンタイム!「魔女と賢者と永久の薬師」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    物語として楽しむ
    脚本の面白さを超える演技という印象であった。物語はプロローグ、エピローグへ繋げ、その間を劇中劇(回想)というオーソドックスな展開にしている。物語はダークファンタジーという謳い文句の通り人間の業(ごう)に起因した悲劇を壮大なロマン風に仕上げている。その観せ方、芝居という見世物としては面白かった。
    (上演時間2時間)

    ネタバレBOX

    舞台セットは、中央にやや広い階段、上部は出入り口に引き幕。上手側・下手側にそれぞれ形の異なる屏風(衝立)のような仕切りがある。その壁面、上手側は剣・矛、盾が飾られ、下手側には書物(「ペン」のイメージ)が置かれている。ペンは剣より強し...という言葉を思い出す。正面左右の壁には大小のギアが飾られている。それが時計とは逆回転し回想シーンへ。

    梗概...海洋暦692年 カルタグラは正体不明の疫病に苛まれていた。 勇者メディスの叛乱により、先代国王を失ったカルタグラを侵略しようとする周辺諸国。国王の娘・アンダリテが戦場で指揮を執るがカルタグラは敗走を続けている。人々は国の災いは、全て魔女の仕業とし、魔女と噂される者を処刑し心の安堵を保っていた。 今日は罪もない薬師の少女・サクリが処刑される、はずであったが彼女の前に紅蓮の魔女が現れる 魔女は少女に告げる 「この手を取りなさい」と...。

    「魔女」という存在は、人間の業によって形成され、その魔女によって戦争(侵略)が起きているという皮肉。魔女狩りと称して国の不安定を人の人格に転化する。それも理由なき理不尽によるもので、その結果人々の怨念・怨嗟などの恨みの連鎖が生まれる。登場人物は次々に死んでいく、滅びの美学のような気もする。人間自身が招いた自業自得であるが、本公演ではそれも予定調和の内のようであった。

    「魔女」が忌み嫌われていく過程、そこには人間の悪意がはたらき罪なき人が「魔女」に仕立て上げられる。もちろん公演はフィクションであるが、それは荒唐滑稽なことではなく、やがて来るかもしれない。架空の物語、それゆえ卑小なリアリティよりも壮大なフィクションとして楽しんで観た。ただ悪が渦巻く中、薬師だけが純真さを持ち続けるという出来すぎが白けてしまいそう。

    役者は熱演...特にネスリム(井家久美子サン  「城に仕える錬金術師」)は憎々しげであり圧倒的な存在感・迫力があった。また殺陣というかアクション、それに顔面に施した妖しげなアートなどの印象付を意識したような演出は好かった。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2016/11/18 16:39

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