つややかに焦げてゆく 公演情報 Antikame?「つややかに焦げてゆく」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    普通の人々(女性)の心情を...
    作・演出の吉田康一氏の思いが溢れるような言葉...その伝え方が詩的な長台詞になって表現されている。少し観念的と思えるが、普通の人々、特に女性の心情の断片を切り取るかのように思えた。
    物語はオムニバスから緩く繋がるような展開であるが、その詩的で朗々とした台詞回しが冗長に感じる。脚本は面白いが、演出によって物語の機微、面白さを失わせているかのようで勿体無かった。
    (上演時間2時間20分)

    ネタバレBOX

    舞台は素舞台、ほぼ正方形の四隅に折りたたみ椅子があるのみ。全体的に暗く、舞台上の役者演技に集中させるかのようだ。客席はコの字でどの位置からでも均等に観えるよう工夫している。もっとも観る位置によって少し印象が異なるかもしれないが...。

    高校生だった頃の家庭教師への思慕またはそれ以上の恋愛感情を秘めた女性・ともえ(大塚由祈子サン)、仕事を辞め旅に出る、自分探しのようなユリ(寺坂光恵サン)、夜景が見える駅ベンチに佇み、幸せに手が届きそうなキリコ(矢内久美子サン)、バイト先の後輩と旅行しているが、その友達以上、恋人未満のような関係を続けている女性・みふゆ(こいけサン)、自分の精神・肉体にフィットする男を求めていたが...平凡に落ち着くことになりそうな女性・みわ(野津恵サン)。そのどこにでもいそうな女性たちの心情を、日常の中に淡々と表現させる。他男性キャスト2人。

    その表現は、一見瑞々(みずみず)しく繊細のように感じるが、精神先行で肉体的な面が置き去りになっているようだ。その点で淡々とした描きゆえに躍動感が弱く物語として140分を牽引するには厳しい。台詞は詩的で心象形成を意図していたようで、(若い)女性の孤独、不安、寂しさ、諦念のようなものから、相手(男)の気持に寄り添う、温もり、優しさを求める。その色々な思いの心の旅路を表現しようとしていたが、何となく整えた台詞のようで心への響きが感じられなかった。

    孤独や不安を際立たせる都会の喧騒、群集の歩きをイメージさせる不規則な歩行、雨傘による寂しさ。そして役者へのスポットライト、場内全体を照らす照明の色彩など、台詞と同様に詩的なことを意識させる。
    物語の構成や女性心情(オムニバス的)の描き、その坦々にして悠々とした雰囲気は好ましいが、もう少しテンポと力強さがあったら良かったと思う。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2016/11/13 11:45

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