あの大鴉、さえも 公演情報 東京芸術劇場「あの大鴉、さえも」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    デラシネラな運び屋達
    ネタバレ注意。であるが少しばかり。珍しく俳優目当てにチケット(安くない)購入、戯曲は以前読んでいたから「短い」「盛り上がりはない」「不思議な雰囲気(何ならゴドー)」「どんな趣向かに拠るが・・小野寺修二」と、考え得る舞台の形を想像してもよく分からず、俳優の選定に答えがあるかな・・と推定してみたのである。
     答えは三人の取り合わせ、には必ずしもなく(私の目には)、個々の持ち味は発揮されていたが、三人三様に得意とする所が異なるため、あのような形になったかと思う。とは言え、多くは三人が息を合わさない訳に行かない場面。さて如何。
     

    ネタバレBOX

    あほやなぁ・・と「笑える」三人である事が、この戯曲をやる前提なのかな、と思う。笑えるという事は、そこに人間の本質が表れたという事であるので。 笑いが思いの他少なかった。踊り(的な動き)による表現は秀逸である。 問題はガラスの扱い方だったように思う。こいつだけは、形状が決まっていて、それは共有されていて、しかしよく分からない注文に翻弄されている様子が見えたい。ガラスは三人を縛り付けており(ある見方では結び付けている、とも)、重要。折紙を折って作ったかのような二つの壁で仕切られた空間、下手の壁は内側に傾斜しており、ガラスを立てかける場合にそこは空間がゆがんでいるのか、傾斜した壁に立てかけているのか・・・細かな事だが、どのリアルの線引きがあるのかは、抽象度の高い作品の解釈にとって大事なことに思う。
    突っ込みたい部分はあったが「無為」な時間を批判的にも、肯定的にも見ることの出来る不思議な作品世界になっていた。原作が持っていた文脈が汲まれたのかどうかは、判らない。 

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    2016/10/17 00:49

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