来たり人たち 公演情報 Toshizoプロデュース「来たり人たち」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    来たり人たち=よそ者たち
    今回の芝居の予備知識は、「舞台が愛知県の尾張地方、造園業者の一家の跡取り問題を巡って展開する物語」いうことだけ。
    台本を見ているわけではないので、聞き逃しからくる誤解があるかもしれません。個人的な解釈が的外れになることだってありうると思います。

    ネタバレBOX

    エピソードシーンの積み重ねで、次第に煮詰まってくる家族それぞれの想い。  家族という池に波紋を拡げる出来事は2つ、父の脳梗塞の入院、リハビリ生活、後継者問題はもちろん最大のテーマで、もうひとつは謙一のけが騒動。
    後継者の候補として父から出てくる子供たちの名前に、謙一が出てこないことにいらだっている様子の母。
    この母は謙一のことになるとどうしてここまで強く反応して絡むんだろう?という疑問が、なかなか腑に落ちませんでした。 父の不在時(入院)に過剰なまでに気負った仕事の采配ぶりを見せる尚子、父とは一線を画して生き方を見つけようとする姿勢の信幸、ケガの後の仕事への復帰への意気込みからしてほかの誰よりも父に似ている謙一。どうやら、この家族の中に起こっていることは、単に父親が昔の家長的なふるまいを身につけていることからだけではないらしいと気づきます。
    では、どういう積み重ねの過去をもった家族なのか? このことが、わかるまでに非常に時間がかかりました。

    観ている者にとって、もやもやとした疑問が解けてくるシーンがありました。
    ① 尚子が恋人と実の母の墓前で会話するシーン・・・私にとっての母はやっぱりここにいるというようなセリフ。
    もう一つがラストの②「夫婦が亡くなった先妻の墓参りに向かうシーン」の時・・・・謙一を連れてこの家に来た時の思い出話。

    「来たり人たち=よそ者たち。この家族の中に、あとでよそから入ってきた者達」の意味が、初めてはっきり見えてくる瞬間です。
    セリフとしては、さりげなくしゃべっているし、なによりこのシーンが相当後に出てくるので、ここまでもやもや感を引っぱってしまうのが結構苦しいです。特に夫婦のしみじみとした会話は最後に出てくるので、ああそういうことだったんだとようやく納得。
    吉村浩司もおじいちゃんに助けられた思い出話からして、「来たり人」に入れてもいいかもしれませんね。

    ここに至って、ようやく母の謙一への入れ込み具合の謎がようやく解けてきます。そして、実の子どもたちよりも謙一のほうが父に似ていることも、謙一の側からすれば「この家族の一員として認めてもらいたい(特に新しい父に)健気な想いがこういうかたちになって成長した」ことがみえてきました。(私にはそんな風に読み取れました)
    連れ子として入ってきた謙一のほうが父親似となり、実の子どもたちは父のやり方を反面教師として、成長してゆくという皮肉。
    家族メンバーが現実をどう受けとめてここまで来たのか、ラストでもういちどふりかえる事になります。

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    2016/10/03 15:58

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