夏の光2016 公演情報 いちかわ市民ミュージカル実行委員会「夏の光2016」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    感動します!
    前回は、ずっと心に引っかかる出来事をなんとか克服しようというものだった。

    今回も、少し似ているが、愛馬を戦争のため虐殺された苦い事件が克明に描かれていて、紀伊國屋シアターの木下順二を彷彿させた。

    表現がどぎついのが、木下作品での印象だったが、本作品は、明るい場面も多用してバランスをとっていた。大人数演劇の良さもあって圧巻!

    ネタバレBOX

    市川市民ミュージカルを,四年ぶりに観た。

    前回の簡単な印象は,導入の語り部が少ししろうと過ぎるとか,大量動員して,キツネの花嫁軍団のうなされそうな場面とか。とはいえ,市川に住んでいるとこんな素敵な企画に生涯参加できるのかと,移住も脳裏をかすめた。

    そこで,今回は,馬がモチーフ位しか知らない。でも,もう一度,100人とか,200人とか,とにかく大量動員の市民劇を観たいと思った。台風のために,観劇そのものを見送ることになりそうだったから,チケットは手配しないことにした。

    この演劇の骨格は,紀伊国屋シアターで観た木下順二の戦争ものに通じる。私は,軍歌が流れたり,軍人が暴力的なやつは大嫌いだ。太平洋戦争の映画も,めったに見ない。だから,そのようなシーンが拡大していくとき,やや引いてしまった。そのような場面は,魔力があって,再現すらアブナクて御免だ。

    といった,点では,減点もあるが,本作品は,ほかの点では大変良くできていると感じる。

    自分の可愛がっていた名馬が,戦争に使われるという名目でいなくなった。少年の心は,いつも愛馬のあさかぜにある。久しぶりに,そのわが馬に再会すると,とんでもない話が聴こえて来た。日本軍人の感染病には馬から抽出されるワクチンが効くらしい。馬は実験に利用されて,ホロコーストだ。

    少年は,怒りにふるえ,大泣きするが,戦争時は狂気の時代だから,誰もそれを止められないのだ。少年は,老人になって,競馬場に馬でも見にいこうという孫のことばに,はるか昔,心に傷となった事件を回顧する。このあたりは,しろうと集団のはずだが,とても良く出来ていたと思う。

    楽団の生バンドにあわせて,すべての場面が進む。開始早々の,悲劇の主人公,馬たちのダンスもおもしろかった。動物園に出かけた子どもたちが,ぬいぐるみ状態で(このあたりは,やや脱線・やり過ぎかも)合唱し,踊るのは,数もすごいし,壮観だった。おもしろかった。楽しかった。

    演劇には,イプセン『ゆうれい』のように,五人で演じ切るものもある。また,ストーリーは,比較的単純だが,美声と,優雅さで圧倒する,大ミュージカルもある。はては,今回のような,セミプロ集団による体験・ワークショップ的演劇。最後のものは,めったに見ないが,一度見ると,忘れられない。

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    2016/09/04 14:25

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