救いがないのに救われるような
劇団八時半の舞台は三度目の観劇になる。これまでに観た「私の音符は武装している」「完璧な冬の日」と同様、高学歴な人々を描いている。今回は化石発掘現場でひたすら採掘を続ける、私設研究所メンバーの話だ。
人里離れた山奥に隔離されたような現場で毎日毎日単調な作業を繰り返すメンバー。色々な問題が発生するなかで、だんだん精神的にもおかしくなってくる。普通の人がそうじゃなかったり、普通だった人がそうじゃなくなったり、ジワリジワリと事態が進行していく描写が実に秀逸。
人格と状況と事態が絶妙なハーモニーを奏でるような作品。何も救いはないけれど、救いがなくても救われるような、妙な安堵が感じられた。