「過ぎ去って行く日々はやがて…切ない想い出に」 公演情報 劇団ザ・スラップスティック「「過ぎ去って行く日々はやがて…切ない想い出に」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    典型的な...
    典型的な劇中劇...現代劇の古典とも言えそうな作品を劇中で演じる。本公演タイトルからその作品を推知できるかも知れないが...。
    梗概からみると、その中核に有名な作品が据えられていることから、新鮮味は乏しいのが残念なところ。しかし、その観せ方はダンスを取り入れ躍動感溢れるもの。主人公は地方の高校演劇部の女生徒が”女優”を目指して上京するところから始まる。この若い年代に合わせた演出であることは一目瞭然である。
    (上演時間1時間45分)

    ネタバレBOX

    清水邦夫作「楽屋~流れ去るものはやがてなつかしき~」のいくつかのシーンが描かれる。先に記した山桜高校 第19期演劇部・幸子(清水葵葉サン)が女優を目指している、その姿を「楽屋」に重ね合わせている。

    楽屋。亡霊になった女優Aと女優Bが楽屋で化粧。今上演中はチェーホフの「かもめ」。主役のニーナ役の女優Cが楽屋に戻ると、プロンプターをつとめていた女優がパジャマ姿でマクラを抱えて現れる。この女優Dは、精神を病み入院していたが、よくなったからニーナ役を返せと女優Cに詰め寄る。言い争いになり、女優Cは思わず女優Dの頭を殴ってしまう。女優Dは起き上がって出て行くが戻ってくる。今度は亡霊のAとBが見えている。打ち所が悪く死んようだ。ニーナ役が欲しくて精神異常になった若い女優が死んだ。
    この女優Dが 幸子 である。チェーホフの「かもめ」「三人姉妹」がしっかり観て取れる。そして8月中旬を意識してか”軍靴”の足音の台詞。この「楽屋」シーンはベテラン(鬼籍に入っている設定のため)女優が演じており、貫禄を感じる。

    10年の歳月が流れ、久しぶりに演劇部同期会を行うことになった。高校が取り壊されることになり、懐かしい顔ぶれが並ぶ。しかし、その中に幸子はいない。夢叶わず...まさに「楽屋」女優そのもの。

    物語の概要を成すのは、高校演劇部仲間との友情、恩師との交流で公演全体を「劇中「楽屋」も含め)緩く包む。その観(魅)せ方はダンスパフォーマンスであり、「楽屋」の悠遠・情念というイメージとはかけ離れたもの。本公演、この異質を融合(和)して見せようと工夫しているのが良かった。
    キャストは総じて若く荒削り。その中でも幸子役の演技と高校生役(小西里奈サン)のダンスがうまいと思った。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2016/08/14 11:20

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