朗読劇「ひめゆり」 公演情報 新国立劇場演劇研修所「朗読劇「ひめゆり」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    力強い「朗読」の劇
    研修生公演にしては(?)盛況だった。沖縄の女子挺身隊いわゆる「ひめゆり」、言ってみれば手垢のついたような題材(映画化は少なくとも3本以上)を、今、どうやるのか・・逆に気になって観に行った。「cocoon」の舞台は未見だが、現代の感覚をそのまま当時に生きさせた原作は、悲惨の度を薄めることで受け入れられたのかも・・などと思ったりする。若い研修生たちが初々しい花の「師範学校」生徒を演じ、それが瞬く間に暗雲垂れこめ、最後には阿鼻叫喚の世界を、「国のため」いわば使命感という支えを頼りに生き抜く。そして、死んで行く。
    日本人の「被害」中心の戦争観を補強するものとして機能しがちだが、実態は皇国史観と日本軍によって「死」に至らしめられた沖縄人の実話物語であり、米軍が上陸して陣取った土地は、そのまま一度も住民の手に戻ることなく基地として使われ続けている、というおまけも忘れる訳に行かないお話なのであった。
     半円に置かれた木製の学校椅子が、「朗読者」の帰る位置だが、「語り」でない劇中劇は中央で演じられ、台本を読む、という体勢は常に変らず、無理な格好をしながらも台本を見ながら喋る。朗読者の心情が通常の舞台仕様に迫っており、これほどアクティブな朗読はない。照明はめまぐるしく変化し、薄暗くなっても台本は見ながら語る。
     語る者たちの感情は決して途切れない。途切れてはならないという決意が見える。地の文がありありと場面を想像させ、台詞では激情が迸る。簡素な舞台装置と照明、音響とともに一気に駆け抜けた1時間50分。ベテランでない、彼らがやってこその舞台だったかも知れない。

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    2016/08/06 03:09

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