ゴーゴーボーイズ ゴーゴーヘブン 公演情報 Bunkamura「ゴーゴーボーイズ ゴーゴーヘブン」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★


    舞台の2階部分に邦楽集団「綾音」の皆さんが整列、その中央にはおなじみの伊藤ヨタロウさんが正座して長唄を吟じる。これがまぁ、お上手なこと!その歌詞に合わせて物語りは進行するが、口では助けますよ、という割には案外無責任な日本とその世界情勢が垣間見えるような、複雑夫婦な間柄で他人にはわからない残酷模様かと思いきや。登場人物たちの運命が苦しく辛く、グロくて、でも笑えて、取り巻く環境はかなり辛辣だけど、各々の愛情がジワジワと胸の内に浸出してくるような(松尾さんご自身で戯曲本のあらすじで書かれていた単語の)エレジー舞台でした。
    役者さん達もみんな素晴らしかったし、おもしろかったです。

    ネタバレBOX

    異国の砂漠の土地であっても、政争に勝とうが負けようが、圧倒的な力が介入していれば、終わったあとには粛正が始まる。中東やヨーロッパでのテロやら聖戦、何処かの国でやっているらしい人身売買、女性蔑視に性差別…きりがないくらいの言葉が思い浮かんでは消える複雑さ。トーイが死後、自ら椅子になることを望むのは、それによって天国に逝けるという願望でもあるのかな。だからって聖戦という名の下に、自爆テロを起こされても困るが。

    遠い国で起こる紛争には対岸の火事の出来事で、と傍観していたら、いつの間にか、その渦中に入り込んでいた日本人というワードは現実世界で触れるようになったが、宣伝文句の「ボーイズラブ」に意識がいってしまったせいか、当初はそちらの方を見過ぎており、話が進んでいくうちにそれは永野の些細な片思いに見えてきた。永野の妻、ミツコの嫌がりながらも「夫婦だから」「会い(助け)に行く」という行動は突飛な行動でもなく、2人の間柄を思ったら、むしろ合点がいった行動と思った。
    八木さんであって、死後、山羊に転生する世界では、疑問は考えず思考は停止する。セリフの中で「自由がない安全」や「夢を見ない気楽」だったか、そのようなことを発するが、生け贄となるヤギの存在に永遠の罰を与える(だったと思うが)聖書の「異教の排除」を思い出したりして。

    PPMの「花はどこへ行った」だと思うが、その音楽も爽やかだけど、実は心寂しく壮大過ぎず、あの場面に適して聞こえた。
    現地通訳ワギーの岩井さんがかなり良かった、松尾さんの舞台にあんなに似合うとは。今後も松尾さんの作品に出て欲しいなー。
    音羽屋さんの時々キャタピターだわ、ねじ式だわ、和服で踊りまくる姿には、生まれ持った技巧の凄さなのか可愛げがありつつ凄さも感じた。
    ほか、大人計画の役者さんたちは安定していましたが、特に村杉さんの上手さが抜きんでて見えました。

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    2016/08/01 01:23

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