ただしヤクザを除く 公演情報 笑の内閣「ただしヤクザを除く」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    アゴラで3度目。
    タイムリーかはともかく、話の出来は「ツレウヨ」=二重丸→「福島第一原発」ガタ落ち→今回=面白い・・と鋭角気味に評価が乱高下。
    今作、明確な主張、また名言あり。
    素人臭い芝居、カラオケでの歌挿入によるプチ・ミュージカルは脱力系。歌謡曲の選曲が的確。
    アフタートーク:鈴木邦男、松本○○。

    ネタバレBOX

    事は「人権」をめぐって、論点明快に話が紡がれる。
    舞台はピザマッスル店内、および時々戸外、と警察署。よくピザの注文が来る配達先の某男が実は指定暴力団の舎弟だと判明、弱腰のピザマッスル地域担当が警察に呼び出され、釘を刺される。サービス供与をしてはならないというのだ(この部分の法的裏づけは不明)。
     店員にそのことを申し渡そうとした矢先、チベットピザ(だったか?)を毎度注文する、例の男がやってくる。慌てる店員たち。だが、勇気を振り絞り、今後ピザの配達はできないと地域担当の男は告げる。相手は怒りをみせるがこちらは「法律」が盾。歯を食いしばって追い返す。
     それを複雑な心境で眺めるのが、ピザの代名詞のような女店長。CMにも抜擢され、ピザ命である。「うちのピザを気に入ってくれてるのに・・」と、至極真っ当な感覚で承服しがたい思いらしい。その後、店長は自分でピザを買い始める。不審がる店員。この店員たちの会話もまた楽し。それぞれのスタンスで仕事をしている。まあバイトであるが、「いつもニコニコピザマッスル、○○元気に行って参りまーす!」「(同じく)ただいま帰りました!」の決まった掛け声を、嫌がりつつも居直って必ずやるのも楽し。芝居にメリハリがつく。
     さて店長は公園でピザのやり取りをしていた。それを発見した二枚目のバイト男。店長の「便宜供与」は発覚してしまうが、のバイト男が役割を引き継ぐ。
     そこでのバイトとヤクザ男のやり取りもまた楽し。 バイトは言う。「お前は最低な人間だ」「なに」「最低なやつに最低と言って何か支障があるか」「??(だったらなぜピザを・・?)」「これは人権の問題だ。お前が好きだから、かわいそうだから、こんな事をやってるんじゃない。最低なやつの人権が守られてこそ、人権だ」とのたまう。ヤクザ男「・・・・」。
     さてこのバイトの計らいも、現実主義なバイト男にバレてしまい、あれこれあって警察、ヤクザともどもにピザ屋に終結とあいなる。そこで「ピザの代名詞」女店長は、ヤクザ男が語っていた「息子のためにピザを」「小さい頃親父と死に別れて」といった告白が全て虚偽だと知る。息子なんかいないし。しかもその種類のピザを買っていたのは、最初に買った時のおまけのカードがあるゲームのキャラで、数が少ないのでプレミアがつくようなものが当たり、ネットオークションで20万で売れた。それに味を占めて柳の下のドジョウを追って毎回注文していたというのだ。
     ショックを受ける女店長。彼女は騙されていた、彼女がやった事は無駄だった、という会話の中、例の人権バイト男が衆人を相手にダメ押しする。「自由と人権は違う。自由は権利だから、権利を行使するしないは本人の問題だ」「だが人権は義務。どんな人間に対してもこれを保障することを怠ったら、それは人権ではない。そしてヤクザのような最低なやつには人権など必要ないと言う人間は、やがて自分自身の人権の根拠も失うだろう。なぜなら人権とは、万人に等しく天が与えるものだからだ・・・!」(大意)と、名演説。
    さて、女性たる店長にとって高邁な理念についての是非など二の次である。がっくり落とした首を上げ、ヤクザ男に最後の質問をする。「あなたは、ピザを食べたの? たとえおまけ目当てで買ったものだったとしても、それを食べたの?食べなかったの?」 ヤクザ男「そりゃ・・食べたよ」 「で、おいしかった?」「・・・まあ、・・」とか何とか。 満面の笑顔を浮かべる店長。
    こうしてご多分に漏れずカラオケタイムとなり、大団円。

    無駄のない構成、程よく楽しく、笑えてシリアスなメッセージもあり・・の見事な脚本だったが伝えるのは難しい。

    あらゆる題材(喫緊のテーマならなおよし)をどんどんやってほしい。

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    2016/07/29 04:48

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