7ストーリーズ 公演情報 イークエスト・カンパニー「7ストーリーズ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ブラックコメディ...楽しめた!
    開演前、静寂の中、車が街中を走る音。すでに孤独感が漂う。
    男がアパートの7階から飛び降りようと身構えている。物語はその張り出した場所を往復し会話するだけのシンプルなもの。この公演の見所はこの男と、アパート住人たちとの奇妙な会話。いや会話が成立しているのか分からない、捩れ、勘違い、思い込みといった遣り取りに面白みがある。

    終盤、老婆との会話が日常の繰り返しにこそ幸せがある、という当たり前のようで味気ないが、考えさせられる。
    この芝居は面白かったが、気になることが...。
    (上演時間2時間)

    ネタバレBOX

    ある夕暮れ、アパートの七階。一人の男が窓の外、外壁から僅かに張り出した突起の上に佇んでいる。今、飛び降りようとしているところに、7つの窓の1つが開いて、中で争っている男女の姿が見える。痴話喧嘩をしている。勢い余って男は女の首を締める。外の男は見るに見かねて仲裁に入る。しかし怒りが収まらない男はピストルを発砲。外の男も巻き込まれて大騒動となってしまう。
    今度は両隣の窓が開き、それぞれの住人が顔を出し、事の顛末を外の男に詰問する。そのうち別の住人とその友人たちやパーティ会場の客たちも巻き込んで人が入替わり、立ち代り現れては男に話しかけるため男は飛び降りる機会を逸してしまう。
    それから老婆が現れてとりとめもない話をし出すが...。

    E-Quest Company 代表・谷口浩久氏が当日パンフで、この物語に”国家機関”と ある”動物”の登場について、この物語を暗示的に書いている。国家機関は警察、動物は鳩であるが、この物語の結末を上手く表している。

    都会のアパートでの隣人関係は希薄または無関心といったところ。舞台はそんな情景を舞台うしろ(壁)の窓(部屋)に状況を投影している。窓の中にいる住人たちは、とにかく生きている。その無頓着振りと男が感じている繰り返しの平凡な日常への疑問が対比的で可笑しみがある。ここにブラックコメディとしての観応えを感じる。
    自分自身を見失った男と100歳の老婆の他愛ない会話が印象的である。老婆曰く...警察は形式的な業務の遂行のみ。人の心には入ってこない。鳩、部屋に飼われたままでは飛ぶとこも忘れる。いやもはや飛べなくなっているかも。人生を坦々と生きた誇りのようにも聞こえる。そこには自立(信念)の大切さを問うているようだ。

    さて、気になったこと。セットのアパートの張り出した場所を広角にひらいて作ってある。キャストが窓枠内で演技した場合、その角度が死角のようで観えないシーンがある。特に最前列両端の席は見切れになったと思う。上演後、気になって座ってみた。舞台セットまたは窓枠から半身出すような演技をするなど工夫があっても...。また男の悲哀・絶望が垣間見えて飛び降りそうな姿が見えると更に良かった。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2016/07/26 17:48

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