くちづけの麦を 公演情報 劇団回転磁石「くちづけの麦を」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    寓話のようであるが、その訴えが弱い
    冒頭は宗教色...受胎告知などという台詞が飛び出すような寓話のようで、期待感が高まるが...。この冒頭の壮大感は、本編に入ると萎んでしまう。

    物語の展開に捻りがなく、描き方も表層的で観客(自分)の心は揺さぶられることはなかった。ファンタジーという謳い文句であるが、その作風も普通の劇のようで魅力を十分発揮していないようだ。

    ネタバレBOX

    梗概...「天使募集」のチラシを見て、そこにある受胎告知の仕事に応募する。「受胎告知」は天国の川を流れている魂をすくって、地上の女性に届ける。しかし届けようとした女性は難産で、その父親が「子を犠牲にしても、娘の命を救ってくれ」と懇願しているのを見て、その魂を連れ戻す。

    中世ヨーロッパの街を想起させるような舞台。それはレンガを積み上げた重厚感を醸し出す。
    街の中心にある教会傍でパンを売っている子(ベルヌ)は孤児たちにパンを分け与え慕われている。そんなベルヌは時折、聞こえるはずのない人々の苦しみの声が聞こえる。それを鎮めるのは父親が汲んでくる水。自分が父親の代わりに水を汲みに行こうとするが、その川の所在を教えてくれない。そして父親の言葉...教会へは行かないようにと。

    少しミステリアスなところもあるが、全体的にはお手軽な感じ。物語の設定の割りには深みが感じられないのが残念。演技としてはハツラツとしており若さ溢れて好感が持てるが、その体現すべき脚本・演出が物足りない。

    そう言えば、都市部にも下水道があるが、それは近くて遠い存在であろう。マンホールの下に広がる世界を知らない。しかし本によれば胎内を思わせるような...街が生きものであることを実感させられるという。何やらこの物語にある教会下に流れる川、受胎告知に繋がる胎内という神聖さ神秘さ。
    全体的な着想は面白いと思うが、それを十分表現仕切れていないように思う。観客の心を揺さぶるような...

    次回公演を期待しております。

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    2016/06/15 17:48

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