満足度★★★★
米沢の出来に満足
新国立劇場今シーズンの目玉の一つであろう『ドン・キホーテ』の初日を観てきた。
『ドン・キホーテ』という作品、作曲者のミンクスの音楽は例えばチャイコフスキーの作品のように音楽的に魅力あふれるメロディーに溢れているわけでもなく、もっぱら振り付け(特に第3幕)に魅力のある作品で、そういう意味ではクラシック音楽ファンよりバレエファンの間では人気の定番となっているものである。
さらに、粗筋としてはドン・キホーテと家来のサンチョ・パンサが旅の途中で父親の反対で結婚が難しいキトリとその恋人バジルの仲を取り持ち無事に結婚させるというもので、このように書くとタイトル通り主人公はドン・キホーテのように思えるのだが、実際はドン・キホーテもサンチョ・パンサも道化的な役割で振り付けもごく控えめな感じであり、作品の主人公は全幕にわたって派手というか難しい振り付けで観客を魅了するキトリ(今日は米沢唯)とバジル(同・井澤駿)なのである。
というわけで、今公演のプログラムには米沢と福岡雄大によるインタビュー形式の振り付け解説が掲載されていて、鑑賞に一役買っていた。
そこで今日の公演の感想なのだが、いつになく米沢が安定した踊りを見せ、特にクライマックスである第3幕では完璧と言うべきもので、客席からは盛大な拍手とブラボーを受けていた。米沢、井澤以外では、街の踊り子の踊り(長田佳世)とカスタネットの踊り(堀口純)がなかなか良かった。個人的なファンである本島美和はメルセデス役で登場したが、彼女の持ち味が必ずしも生かされていない踊りのような気がして残念。
演出的にいえば、各シーンの間がなんとなく長すぎるというか、開きすぎるというか・・・。
しかし、まぁ個人技も見れたし集団技も良かったし、初日としては大成功だろう。正直言って、米沢を見なおした。