わかば 公演情報 うさぎストライプ「わかば」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    偏った人達の偏った愛情
    アトリエ春風舎にて75分。
    うさぎストライプは何度目かの観劇となるが良作にめぐり合えるのは幸せな経験である。

    ネタバレBOX



    縛られている男。
    舞台が明けて目に飛び込んでくるのは部屋の中、縄で縛られている男だ。
    そして男は器用に靴のかかとでPCのキーボードを叩く。だが履いている靴も赤のハイヒールである。
    だがそこに悲壮感や特殊な性癖を感じさせるものはなく、何かの事件性があるものではないことがわかる。

    帰宅する女。
    就職活動中であると思われる女が帰ってくるが縄はそれでも縛られたままだ。女が食事の準備を始めるが出てくる食事もなぜかぬいぐるみ。そしてそれをなにごともなく食べ始める二人。何かを意図しているようにも見えて意図していないようにも見える。そこに観客は意味を見出そうとし、自然と集中力が上がる。

    話が進むにつれて二人の関係が義理の兄妹であることがわかる。
    いなくなった、妻である女を自分の家で待ち続ける男、そして妻の代わりとして居続けようとする妹。安っぽいドラマであればそこから愛情に発展して物語が・・・となりそうなものではあるがこの物語はそうではない。
    男はいなくなった妻を愛し待ち続け、妹はそんな兄に好意を持ち、姉の代わりでもいいからと居続けようとする、そんな二人の日常が少しずつ変わっていく。
    ある種の歪んだ愛情と歪んだ関係性でつながる二人の物語は幸せなようにも見えて悲しいようにも見える。この話の中でも大池の演出は光る。
    独特の身体性を持たせつつ日常の会話を繰り広げる二人のやりとりは、見ている観客に疑問を投げかけるとともに、やりきれない、内に秘めた感情に抗おうとする人間のあがきのようなものが見えるのだ。

    うさぎストライプの新作は、繊細な心理描写の中でそれでも無意識にあがこうとする愛おしい人間達の物語だ。

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    2016/05/03 11:29

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