ウェルテル 公演情報 新国立劇場「ウェルテル」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    後半からが秀逸
    新国立劇場で公演しているオペラ『ウェルテル』の中日に出掛けてきた。
    ゲーテ原作の台本にジュール・マスネが作曲したフランスの作品ある。

    粗筋は、一言でいえば婚約者のいる女性・シャルロットに恋したウェルテルが、婚約者と結婚して人妻になっても彼女の事が忘れあれず、結果として自殺することで彼女への思いを清算するまでの葛藤を描いた作品。ウェルテルの自分に対する思いに応えたい気持ちと婚約者(後の夫)への思いの間で苦しむシャルロット。シャルロットの婚約者でウェルテルの恋心に感づいたアルベール3人の、本心を隠したままで対峙する2重唱が秀逸な2幕や、シャルロットと自殺に向けて決意するウェルテルの想いが工作する3幕が見所といえるだろう。

    実は、観に行く事前勉強で粗筋だけは頭に入れて劇場に行き、特にプログラムを買うこともなく1幕を観た段階では、今まで観てきた様々なオペラと違い退屈だし穏やかな作品で最後まで飽きずに見終えることが出来るだろうかという思いがあったのだが、2幕の内容がかぜん緊迫した物となって気分は一新。あわててプログラムを買い求めて、マスネがこの作品をオペラではなくドラム・リリックと名づけて作り上げた事を知り、なるほどそこが従来のオペラとは違った印象を受けた根本的な理由だったのだなぁと納得した次第。

    さて、公演ではウェルテルを演じたテノールのディミトリー・コルチャックと、シャルロットを演じたメゾソプラノのエレーナ・マクシモアの歌唱と演技が圧巻。日本人では、シャルロットの妹であるソフィーを演じたソプラノの砂川涼子の出来が素晴らしかった。動きが比較的少なく、登場人物も少ない本作では、感情を込めた歌唱のシーンが多く、その歌唱に緊迫感がよく込められていて上演のレベルとしては秀逸の出来ではなかったろうか。

    指揮は当初ミッシェル・プラッソンだったが、急遽来日不能になり息子のエマニュエル・プラッソンが担当。これまで新国立劇場にはバレエ公演指揮者として2回登場していて、オペラ公演を指揮するのは今回が初めて。ネット上ではバレエ指揮者と軽視する向きもあったが、なかなかどうして上手くオケと歌手をコントロールしていたように感じた。特に後半のドラマティックな音楽作りには感心。若手指揮者として、もっと招聘してもよい人材なのではあるまいか。

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    2016/04/10 18:27

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