丹青の「金明竹は風呂敷の紙入れ」 公演情報 深川とっくり座「丹青の「金明竹は風呂敷の紙入れ」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    典型的な大衆娯楽演劇...楽しめたが
    初めての劇場、未見の劇団である。初めてのことばかりで、予備知識なしであったが、昭和の大衆(時代)演劇といった雰囲気であった。あくまでイメージであるが、大宮デン助、藤山寛美が率いていたような劇風である。会場は、公共施設に併設されたホールで段差がなく緩い傾斜の客席である。ゆったりシートは心地よい。

    舞台セットや衣装、小道具も時代劇のイメージを出す工夫をしており、好感が持てる。典型的な娯楽演劇という感じであり、観客を楽しませようという思いが伝わる。

    この公演は、タイトルからも明らかなとおり、三つの落語噺をもとに構成されているが、それがあまりに...。

    ネタバレBOX

    「金明竹」「風呂敷」「紙入れ」の落語噺であるが、自分は落語が好きなこともあり、其々が融合することもなく繋ぎ合わせただけのように感じられた。あくまでその三噺はモチーフに溶け込まし、この劇団の新たな”江戸庶民の人情話”に生成していればと残念でならない。落語噺の面白さを損なわず解体し、芝居という中に活かすという試み、その融合させる手腕を観たかった。

    ちなみに、三落語噺は...
    「金明竹」…骨董屋(古美術店)を舞台とした滑稽噺。店の小僧と客のおかしなやり取りを描いた前半部および、小僧と店主の妻が上方者の難解な言葉に振り回される後半部の二部構成となっており、多くは後半部のみ演じられるという。この芝居では、両方入っている。

    「風呂敷」…夫の帰りを待つ長屋に、幼なじみが遊びに来る。ふたりで語り合っていると、夫の声がする。夫は覚えが悪く、嫉妬深く、粗暴であったため、「不倫と勘違いされて殺されかねない」と恐れるあまり、幼なじみを押し入れに隠す。しかし夫は押し入れをふさぐような形で横になり、寝込んでしまう。そこに鳶頭(かしら)がやって来る。ことの次第を聞いた頭は、隣の家から1枚の風呂敷を借り、夫を揺さぶり起こす。

    「紙入れ」…貸本屋の新吉は出入先のおかみさんに誘惑され、旦那の留守中にせまられていた。そんな時にいきなり旦那が帰宅、慌てた新吉はおかみさんの計らいで辛うじて脱出に成功する。しかし、旦那からもらった紙入れを、現場に忘れてきた事に気づく。しかも、紙入れの中にはおかみさん直筆の『恋歌』が書かれた手紙が入っている。

    現代社会…政治に目を向ければ”きな臭い法”が、経済では大企業が不祥事の数々、終身雇用が終わりを告げ、何歳になっても絶対的な立場などない不確実な時代になっている。そんな閉塞感漂う時代だからこそ「笑い」のある娯楽(芝居)は大切であろう。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2016/03/28 06:34

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