『Peace (at any cost?)』 公演情報 東京デスロック「『Peace (at any cost?)』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    <実験>の名手・タダジュンが導く「平和」を巡る旅
    間違いなく「初めて」という状況に身を置く体験が「Peace (at any cost?)」。アイデアの人、多田淳之介が次に何を試みる(遊ぶ)のかが、やはり気になって埼玉県ののどかな町へ出向いた。
    「整った感じ」の美術、音楽(クラシックを多用)に、整然と、コンセプトに従って、考えられた手順でそれは展開する、この「整理された感」が重要なのは、映像や照明、音楽、そして俳優の挙動の微細な「揺れ」が、際立って見えることによる。意識はその揺れ、差異に敏感になり、事態をずっと見つめ続ける事になる。
    これを実現する手練の中身を知らないが、そのために半端なく持ってしまう効果は、一人一人の語る文章を、言葉のつぶつぶを、それ以上ない注意力をもって聴いてしまう事である。敢えてそうしよう(聴こう)と構えずとも、耳に入って来る。この浸透力がすごい。
    二時間。以前観たデスロックの「芝居」でもそうだったのを思い出したが、まだやってもらって良いと思える、純粋な刺激、波動がある。7,8人の俳優による、それぞれが分担する文章の朗読、ではあるのだが、開演から終幕までに多彩な「場面」を体験する。この感覚は「旅」のそれに近い。せいぜい数十人を収容できる空間に、雑魚座りとは言えさして大きな動きは無いのに、「文章」を介して、時空を移動する。その感覚に酔う。実際に起こった事々が、刺さって来る。たった5年間という時間の中で、もう風化しつつある物共が呼び起こされ、立ち上がって物を申している。 具体的には、安倍首相のオリンピック招致のための長い演説の中に、あんなくだりがあったのか・・彼自身の思想では恐らく全くない魅惑的な言辞を弄し、「被災国」日本のヒロイズムのスポットの中に自分を演出していたとは・・ どの局も報じていない事実、とすればまたこれも恐ろしい。
    だが、殊に震災と関わりを持つ「言葉」が、これほどに直裁である事の力を持って吐かれていた事を、知らなかったか、あるいは忘れてしまったのか。自分自身の中に流れた「時間」の酷薄さ(否自分自身のと言うべきか)をまざまざと自覚させられる体験、でもあった。
    この体験で得た発見は、語り切れない。

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    2016/03/27 04:23

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