満足度★★★★
人生は夢...その世界にいる間は心眼で見る
この「夏の夜の夢」は、約420年前の戯曲...、そしてシェイクスピアの戯曲はこれ以外にも多く上演されている。その魅力は...。
さて、当日パンフの演出・林英樹 氏によれば、今回公演は階級社会(第5幕)について言及したかったようだ。初演当時は厳然たる階級社会で、本来なら出会うはずのない貴族階級と職人階級が交わるところまで演じた。翻って、現在の日本...階級社会における意味は階級がない(と思われている)現在では無効か?と疑問を呈している。政治・官僚・財界層の政争や利権争いと明日の不安を抱えながらも日々暮らしに賢明な庶民を重ね合わせたら、この劇はどう見えるのか。
この公演は、分かり易い展開であるが、逆に既知のもので新鮮味が感じられないのは仕方のないことか。例え、先に記した階級に拘った観せ方であっても、その意図が十分伝わらなければ既視感覚だ。
冒頭の照明(色彩)は、雰囲気を醸し出す効果があったが、それ以降のシーンにはその魅力が感じられなくなったのが残念である。