フールシェア 公演情報 さるしばい「フールシェア」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ハートフル・コメディ...好きです
    登場人物は全員善人で、物語は心温まるコメディ...。その底流にあるのは”感謝の気持を伝える”であろう。この公演は劇団・猿芝居の7公演目であるが、自分はそのうち4公演(本公演含め)を観ている。その共通した感想は、心に痛みを持った人に対し、優しい眼差しを向けているということ。この劇団の特長...笑いの中に泣かせる場面をさりげなく入れる。だから面白い、楽しい、とともにペーソスも持ち帰ることになり印象強いものにする。

    ネタバレBOX

    舞台セットは、視覚的に楽しませてくれた。忍者屋敷のように色々な仕掛けがあり、ワクワクする。舞台中央または下手側から階段を数段上がると地上へのドアがある。上手には回転する木壁とベッド。下手には引き出しテーブルや壁内部屋があるようだ。地下物件ということもあり、壁面はブロック、レンガ仕様、床はタイル模様である。

    舞台は地下にあるシェアハウス...そこの住人は大家(不動産屋)も含め、全員が引篭もり者ばかりである。その人数13名(大家とその亡兄含め)で、どんなに広いスペースなのだろうか?しかし、便利な世の中になったということも感じる。インターネットを通じて番組発信、株式等の取引で生活費を稼ぎ出す。

    さて、引篭もりの妹を案じる姉(唯一のハウス外の人)、引篭もり弟を案じながら亡くなった大家の兄(幽霊役)のシェアハウス譲渡などのエピード。他にも引篭もりになった原因が明かされるが、今は皆明るく快活(入居時は無口)。それぞれが相手のことを思って話し、行動する。人間の善意・優しさのみを浮き彫りにし、その素晴らしさを強調する。しかし、その伝達は言葉で伝えなければ...改まると少し恥ずかしくタイミングも合わず、そのもどかしさが窺える。しかし、それよりも全編を通じてエネルギーが満ち溢れ、本当に引篭もりと疑いたくなるような住人たち。その性格が魅力的である。この観せる役者の演技力が軽妙・洒脱で引き込まれる。あくまで芝居の中、非日常で虚構の世界と分かっていても、都内で1万円なら住んでみたくなるようなハウスである。

    ラストについて、自分としては全員が巣立ったところで幕にしても良かったのではと、その方が余韻があったと思う。(上演時間2時間20分)

    次回公演を楽しみにしております。

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    2016/02/01 00:33

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