満足度★★★★
死刑執行をわが身に起こることとして考える
死刑という重いテーマを真正面から扱いながら、笑いもふんだんに織り込んだ完成度の高い津軽弁芝居。被害者家族が加害者の死刑をその手で執行する「死刑執行員制度」という架空の設定が、見事に機能していました。
加害者と被害者家族が死刑執行予定の現場で面と向かって言葉を交わすので、観客は死刑を身近なものとして受け取れるようになります。死刑執行員がいない場合は、その場に同席している拘置所職員が手を下すのが一目瞭然であることから、観客の想像力はおのずと日本で実際に行われている死刑にも及びます。死刑を描いた演劇はこれまでに数作拝見しましたが、ここまで周到な構成は初めて。
じわじわと死刑執行へと迫っていく時間の中で、登場人物のバックグラウンドを少しずつ明かしながら、気持ちの変化を丁寧に描きます。役者さんの柔らかなコミュニケーションは、感情のリアリティがしっかりと伝わるものでした。
2008/11/05 11:24
2008/11/05 10:49
AGPは次々と新企画が生まれて活気がありますね。また来年お邪魔したいと思っています。よろしくお願いいたします。