満足度★★★★
現代を映し出す不条理劇
仮装家族とか、レンタル家族とか。今ではそれほど珍しくないお話が、既に別役作品で1970年代に世の中に提示されていた。その先見性に驚くと共に、この作品を鵜山仁演出で、シュールな舞台に仕上げたところは大いに見る価値がある。
劇団昴の生きのいい役者たちが、街の住人たちを演じている。創立メンバーである北村総一朗が高齢の市長役で登場する。小室等作曲で劇の語りとしての音楽が効果的だ。
仮想の街に月のように浮かぶ飛行船が何を表しているのか、というのが観劇後の酒のつまみになるだろう。見る人が十人十色で語ることができるのは、やっぱり別役作品なんである。