演劇計画Ⅱ-戯曲創作- 山崎彬 作・演出 「また愛か」 公演情報 京都芸術センター「演劇計画Ⅱ-戯曲創作- 山崎彬 作・演出 「また愛か」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    また愛か
    8回公演のうち4回観ることが出来ました。
    あと2回行けたけど物語がしんどくて…

    作品はとても満足でした。

    この企画の制作段階のリーディングなんかから数回参加したけれど
    その時の設定はほとんど残っておらず。
    (役名だけは残っていた)

    この裏切りは心地よく
    意表をつかれることしきり。



    ネタバレBOX

    Jkたちの入場からしてやられた。
    開演の諸注意からすーっと入っていく物語。
    幕の使い方、音楽、照明
    すべていい塩梅。
    美術がたまらなく好き。
    廻り舞台は展開が止まらないので元々好きなんだけど
    三方の使い方がまた新鮮で一幕終わりのあの混沌とした感じ好きでした。

    そういうところは
    『グッド・バイ』だったし、
    終幕は『春よ、行くな』だったし。
    『マボロシ兄妹』っぽくもあり。

    過去作品全部観てないけど
    あらゆるところに過去の作品の影を感じ
    それが良い作用をしてるなと感じた。


    物語は
    最近の事件のことも浮かび辛かった。
    事件自体のことも勿論だけど
    犯人探しみたいなことがネットでは噂になってて
    母親が怪しまれてたりしていて。
    そういうのを自分も覗いてたりしたものだからそこを突かれたみたいで痛くなった。


    良郎はめんどくさくて嫌な奴。
    妻に外出る時はコンタクトにしろだとか。
    一番ムカついたのは
    パートだからって行かなくても何とでもなるだろうって言ったこと。
    自分は俺しか出来ない仕事があるのに休んでる…とか。
    お前も居なくてもどうにかなるっちゅーねん!
    自意識過剰で傲慢な奴。自分の事しか考えてない。
    (あの性癖も)

    咲は咲ですぐ謝って…なんで謝るん?
    二人とも嫌いでした。

    だけどいっぱい考えて感じて
    考えられなくなって感じれなくなって。
    その二幕の二人の叫びは痛くて痛くて。
    特に千穐楽の二人は傷だらけに見えました。

    逆井万太、美津子夫妻は
    過去の傷が瘡蓋になってたのをこの事件でまた剥がされたようなものかもしれません。

    天ちゃんの『もう充分』で救われた。
    観てる自分も救われた。
    天の赦しで光が射した。
    扉の向こうへ。

    まだ感覚は無くならないのかもしれないけど
    1か月ごとの約束で
    生きていられたら…命が延長出来たなら…
    そんな思いで最後の二人を見送った。

    良郎くん
    「ダラダラ何もせずに過ごしたい。その時…」って言ったら咲が
    「横に誰かが居てくれたらいいね」って。
    良郎くんは咲に居て欲しかったんじゃないのかなぁ。

    藤原大介さん、中西柚貴さんは毎回素晴らしかったけど
    千穐楽の二幕は玉置玲央さん、田中良子さんがとても良かった。

    他の出演者方も良かった。
    年輩の役者さんがいらっしゃるのは個人的に好きで
    落ち着くのか何なのか。

    こういう東西混合の役者さんのお芝居が観たかったからキャスティングも最高でした。


    山崎彬さん、これを作ってる期間中に先に二幕もの作ってしまったって。
    その「グッド・バイ」もとても良かった。
    二幕ものが合うのかも。
    というか山崎彬さんの頭の中で巡り巡ってることが
    二幕になることによって観客にわかりやすくなるのかもしれない。


    最後の『また愛か』嗚咽しそうになるくらい泣けてきた。我慢した。

    二幕は誰の言葉を聞いても泣けてきた。我慢した。
    涙流しても鼻はすすらない。
    爆音の時にすすった。

    天の赦し。扉。光。じゅうぶん。じゅうぶん

    0

    2016/01/06 15:30

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大