満足度★★★
観客参加型芝居の難しさと楽しさの間で
29日夜、東京・鶯谷にあるビジネスホテル・シャーウッドを使っての演劇公演、円盤ライダーの『ノーキディング』を観てきた。この演劇は、ホテル最上階の宴会場を主会場に、一階下の数部屋も使い、観客を移動させたり謎解きをさせながら進行させる観客参加型の舞台である。
舞台の設定は新人警察官合同交流会(新人警察官とは観客のこと)の最中に、交流会で演劇を披露する予定だった劇団員の関わる殺人未遂(暴行)事件が発生し、観客と役者が一体となって犯人を明らかにしていくというもので、観客は公安・鑑識・マル暴・捜査一課のフループに分かれ、それぞれリーダー役の役者にリードされて階下の部屋にいる容疑者の元に行き話を聴き、主会場で合同会議を行って犯人を明らかにしていく。
とは言うものの、スタート直後で直感から犯人と思われる人物は容易に想定でき、結局は想定通りの結果に終わるので、劇自体の筋書きというのはあまり楽しめない。観客の楽しみは、劇中に参加して捜査の真似事をしていく過程にある。その楽しみからか、自分の出掛けた日にも数人のリピーターがいて楽しそうに出された問題を解いていた。逆に、初めてしかも1人で参加した自分は、グループ連れやリピーターなどが問題を解いている姿を観つつ、「結局犯人はアイツかアイツでしょ!」みたいな思いを抱いていた。
参加型ではない部分に関しては、よくありがちな大声を出して元気よく演技するスタイルのもので、ラストになかなかしんみりさせる部分もあるのだが、観客参加部分を含めた雑踏の直後だけに、そのしんみりさが会場に溶け込めない印象を受けたのが残念。
ついでに小さなことながら、チケットは1ドリンク付きで、捜査途中に休憩タイムのような時間が設けられ注文したドリンクがサービスされた。しかし、自分と自分の隣の男性は注文したドリンクを受け取れなかったのだよね。