満足度★★★★★
エール
色んな意味での息苦しさ、きもち悪さを感じた。
どうしても桐子さん(小沢道成さん)がフューチャーされがちだが、
観て、「この対比だから、面白いし、気持ち悪いんだな」
どうして、気持ち悪いのだろう?
ああ、目の前の桐子さんは、芝居を観ている観客の私の認めたくないところをみせてるからなんだと。
それは、他にもきっと、感じている。
男も、女も、他者との関わり合い方を感じてる。
途中、泣きそうになった。
あまりにも、いたたまれない気持ちになったので。
でも、泣かなかった。
劇中の佐竹さんが光りを投げかけてくれたから。
そうか、小沢君のホンは「光」をいつも、感じるんだなと、川本さんで感じた。
佐竹さん(川本ナオトさん)がタダの良いヒトでは無くて、
なにか、観ながら、
なんだろうって考えたら
「ああ、佐竹さんは『希望』とか、『理性』『未来』みたいな感じ?『願望』、『妄想』、もしかすると、実際には実像としては存在してない桐子さん(小沢道成さん)の「念」みたいなものなんじゃないかなって。
ホラー的なモノでは勿論ないのだけど、
妄想を重ねる事で立ち続けてきて、
でも、きっと、佐竹さんのような事を言ってくれる人を期待してやっと、
妄想やら、ネガティブな想いやら、断ち切れるようになったんではないかと、
想像させてくれるラスト。
エールを送る後姿。額縁の様な窓枠には、
外の風景ではなく桐子本人が映し出されている鏡が本当はあったのかも。
優しさだけではない
観たひとが
あの窓枠に向って叫ぶ桐子に自分を重ねて
「まえに」進むことを
そっとエールを送られるような感じになる芝居だったのかなと。
年齢や
性別や
環境や
千差万別だけど
芝居が持つ
「伝える力」を強く感じた芝居だった。
今回2バージョンで俳優が異なる芝居だったが
小角まやさんの芝居を観る事が
どうしても出来なかったことが悔やまれる。