優子の夢はいつ開く 公演情報 パイランド「優子の夢はいつ開く」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    驚きの展開!
    内田春菊女史の脚本らしい...そんな感じを受ける面白い公演であった。女史の本業ともいえる漫画家の特長も活かしており、その力(魅力)をいかんなく発揮している。
    序盤はコミック-ストーリーのような印象を持ったが、終盤はホラーのような感じもする。その変化の大きさに驚かされる。独創的なストーリーで、まったく先読みができない巧みな構成。想像を絶するラスト...観終わってみれば、ブラックジョークのようであった。
    主人公・鈴木優子(住友優子サン)は単なる専業主婦、家庭をきりもりする婦人、などというありきたりな描き方ではない。

    ネタバレBOX

    演出は、暗転時にスクリーン-プロセスを用い、女史のマンガスケッチを映し出す。その電影も単に静止漫画ではなく、コマ送りするイメージである。また漫画だけではなく、見せ場となるシーンには実映像を挿入する。

    梗概は、裕福な家庭に育った優子、幸せな結婚生活(夫・大学生一人息子)を送っている。そんな中、児童施設から子供(小学4年生)を一時的に預かることになり、その施設職員も家に出入りしだしてから、家庭内に波風が立つ。そして彼女自身は主婦から一人の女になり、”性”まで解放してしまう。
    一見平凡で幸せそうな家庭にも、それぞれ抱えた問題がある。TVドラマ「岸辺のアルバム」(1977年)を思い出した。それは、平和に見えた家庭の崩壊の発端は、謎の男からの電話が契機になっていたが、本公演では施設職員と預かる子が闖入者である。

    表面上は素知らぬ顔(頻繁に行う奇妙な「ダンス」、「歌」で表現?)をしているが、夫の裏切り。本当のところは家族から逃げ、人生相談と称し、その相手の不幸を楽しみ自己満足にひたる。本当はかまって欲しい孤独な女性...の内面が崩壊していく様を世間(近所の偽主婦友達)の羨望を絡め、しっかりと観(魅)せる公演は秀逸であった。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2015/12/25 01:20

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