満足度★★★
実験は成功か
寺山修司は演劇実験室を名乗ったが、花組芝居は実験浄瑠璃劇で寺山の毛皮のマリーをやってみせた。アングラ劇の決定版みたいなこの戯曲を、「あうるすぽっと」という大きな劇場で、しかもゆったりとしたいすで見ているのは、何だか時代を飛び越えたというか、ちょっとした違和感というかタイムスリップ感も覚えた。
寺山生誕80年の締めくくりだ。寺山の母親に対する複雑な感情を裏返しにして乗せたような、そんな気もする「毛皮のマリー」。先入観なしに見ると、ちょっとこれはと思う人もいるかもしれない。花組芝居がわりとそのあたりをはっきり打ち出しているので、強烈な寺山テイストを求めていった人は満足度が高いのではないだろうか。
私は梅組を見た。「役者は役に化ける」というせりふが出てきたが、まさにそのような舞台だったと思う。客席から合いの手も入ったりして、盛り上がっていました。