あゆみ(長編) 公演情報 野方スタジオ「あゆみ(長編)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    初「あゆみ」。野方にて。
    マンションの一室をスタジオとして運営しているこの場所で、先日シアターミラクル公演を終えたばかりのfeblabo作「あゆみ」を間近に観た。長方形のスペースを壁沿いに椅子で囲み、役者がハケる場所は客席の輪の中の椅子数個のみ。主人公あゆみの誕生からの一生の物語は、「歩む」形態をとりながら描かれ、客席の輪の内側を円状の道として進みながら、女優らが入れ替わり立ち替わり主人公や母、友達、同僚その他諸々を演じる。主人公の女の子も一人ではない、というのがミソだ。入れ替わりも潔く快い。膝の先30cm位を役者たちが横切ると風を感じるほどの接近具合で、時おり目が合うことも。観客数は「本日最多」との主宰の弁だが、狭い部屋の中、対面の客の顔もくっきり見え、他のお客はどう見ているんだろうとつい表情を覗いてしまう。・・そうした全てが新鮮で、面白かった。
    舞台の出来としては、何より女優たちの好演が大きい。出ずっぱり、快活、しなやか、爽快だった。全員が同時に中央に立つ事はないが、椅子に座っている間も安閑とはできず、劇が流れる時間を呼吸し、スムーズにバトンして行く。全てを7人が総力で作り上げた舞台、爽快。

    作品は、柴幸男らしい(といっても「わが星」位しか知らないが)、人生という「時間を俯瞰」する作品で、印象的なエピソードを織り込みながら進行する。展開がリズミカルで、そのリズムは終り近く、「山を登る」スローな歩行として、人生の道行きの比喩となる。歩行する彼女の「想念」に浮かぶシーンとして、それまで紹介されたエピソードの謎解き(後日談など)が簡明に点描される。この「進んで行く」感は、音楽のように響いてエピソードと併走する効果を持つ。うまい。
     野方スタジオという小さな主体のプロデュースとして、この美しい演劇が生み出された事は、様々な可能性を開かせる話題だと思う。無から何かを生み出す「創造」の営為が、演劇である。

     「あゆみ」という作品について。ここには「感動」の典型的なモデルがある(意味が重複しているが・・)。この点が考えさせどころなのだが、最初の投稿では雑な思考そのままを書いてしまった。書き改めたら、ネタバレに載せることにする。

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    2015/12/14 03:42

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