家族カタログ 公演情報 B.LET’S「家族カタログ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    ゲネプロ拝見
    「雨降って地固まる」という諺があったが、この公演は”台風が来て血固まる”ような家族再生の物語。もっとも固まるのは結束というか、その思いやりという目に見えない”気持”。家族だから知っている、しかし案外知らないことも多い。そして時として鬱陶しくなる存在をしっかり感じさせる。
    BLET’S得意の会話劇が、楽園という小空間を濃密に満たしている。それは観客(自分)の心にも面白いという満足感を与えてくれた。

    ネタバレBOX

    梗概は、向井醤油専門店(家族)の濃口ならぬ恋愚痴の話…始まりは三女・友布子(如月皐サン)が付き合っていた男が二女・友美(永島広美サン)と結婚し、その当時、家族内でしっかり話し合わなかった結果、三女が家を飛び出した。その憎悪ある三女が法事で帰ってきたことから騒動が起こる。家族という内に現れた台風は激しい爪痕を残し、一過した後は…。

    上演後に書いたアンケートを見ると、この2~3年の公演はほとんど観ている。脚本・滝本祥生 女史に作品の良し悪しを聞いても、多分どの作品も思い入れはある、と答えるのではないだろうか。脚本を書くことは子を産むと同じようなもので、大変なことだと思っている。子にもそれぞれ特長があるように、作品にも...。
    本公演は、家族という内側の世界を描いており、現実的に考えれば、特異な出来事(事件)を展開するのは難しい。その意味でありそうな話を愛憎表現で牽引しているため、スリリングさは感じられない。また暴露話の応酬に終始しそうになるが、家族ともなれば内輪の思い出や出来事が頻繁に出て来るのは当たり前かもしれない。ここが他人との会話の違うところだろう。

    全体は予定調和のような気もするが、二女が三女に向かって「将来、私の前に現われないで!」という本音が怖い。そこには姉妹を超えた、人間(女)としての感情が顕になっている。この公演は演出・演技で見せる”常識や理性で律しきれない思考や感情”表現が素晴らしい。

    さて、作品(子)は、他人(観客の自分)から観ると、「春の遭難者」のような社会性が垣間見えるのが好みである。例えばこの作品でも、不景気にも関わらず商売が成り立つ老舗...世間の目、悪い噂のような、家族外との関係、影響はどうであったのか気になる(視点が散漫になる危惧はあるが)。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2015/11/19 17:52

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