再びこの地を踏まず 公演情報 文学座「再びこの地を踏まず」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    人間とはいびつなもの。
     人物設定や劇構成にはいろいろあるかもしれませんが、作者の、人の見方捉え方がそのまま反映されているおもしろい評伝劇。
      人というのはいびつなもので、その度合いが大きいほど人間的な魅力も大きくなる。が、同時にそれに関わる人々も大きく振り回されることになる。そんなことを感じさせてくれる作品でもありました。
     上演時間は約2時間30分(途中休憩15分含)。

    ネタバレBOX

     途中いろいろあるけれども全体としては人間を明るい面から捉えようとするマキノさんらしい描き方の作品だったと思います(もし例えば鐘下さんあたりが同じようなモチーフで描いたらどのような作品になるのだろうかとちょっと想ってみたりもしました)。また、耳で聴いていてやや難しい表現や専門用語(例えば、感作など)を含むセリフが少なからずあったようにも思います。ただ、「鬱勃たるパトス」(北杜夫ファンにはおなじみですが)にはにやりとしました。

     第一幕の舞台は伝研時代から渡米するまでの日本での生活を描き、第二幕はアフリカに渡るまでのアメリカでの生活を描いています。

     「研究というのは投機や賭けのようなものであたればでかい。同じ苦労するなら、思い切って大物にぶつからなきゃつまらん」といいきり、渡米後破竹の快進撃を続けるものの、人生を賭けた大博打に打って出て結局は負けてしまうのですが。

     「人の天分というものは人それぞれ違うものだ。人間というのは、その半分がまことであればそれでよいのだ。世の中というのは、五分のまことに、二分きょうき、あとの三分は、ちゃめで暮らすものだ(うろ覚えで正確ではないと思いますが)。」
    という劇中のセリフが印象に残っており、これが作者の野口英世の見方を表していたのかも知れません。

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    2015/11/11 21:12

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