満足度★★★★★
アイドルは生き様見せてナンボなんじゃい!
アイドルは生き様見せつけてナンボなんじゃい!
思わず手拍子してしまった。パフォーマンスはもちろんだが
その生き様に。ちょいヲタ芸してる観客も
いた。その気持ち分かる!ペンライト有ったら振ってた。
小心者なのでこっそりだけど。それくらい楽しかった。
当然だがめっちゃ笑えた。
アイドル超大好きの根本宗子「にしか」書けない
「今しか」出来ない、超こだわりのお芝居。
この演劇を強引に一言で表すと
「アイドルの実態に迫ったドキュメンタリー映画風
コメディ」だと思う。
舞台は、埼玉県のとあるスーパー。
「自分ウケる」が口癖の超軽いスーパーの店長・篠田
(加藤啓)は店の売上をアップするため妙案を
思いつく。それは「スーパーマーケットアイドル」。
客寄せにアイドルとして店の屋上で歌ったり
ファンと写真撮ったりイベントを開催しながら、
普段は店員として働かせるというもの。
彼の部下で性欲が強いがびびりの下島
(サゲジマ・宮下雄也)はその計画に賛同。
アイドルの募集をかける。
選ばれたのは7人。
下島の彼女で7人の中で自分が一番可愛いと
思い込んでいる果鈴(尾崎桃子)、
どこにでもいる平凡な25歳の小夏(石橋穂乃香)、
個性が無い事を悩んだ末ギャルの道を選んだ志歩(あやか)、
最年少の19歳・いつもテンションが高く
バラエティタレントを目指しているハーフのジュリア(長井短)、
商売上手な仕切り屋の恵理子(梨木智香)、
元地下アイドル・一見メンヘラ
キャラだが意外としたたかで過激な策士の由梨(根本宗子)、
最年長39歳、アイドルになる夢を叶えるため家族を
捨ててきた崖っぷち感がプンプン漂う静香(新谷真弓)。
この7人でアイドル活動をスタートさせた。
目指すは日本武道館。だが、現実は厳しくスーパーの屋上も
満席にできない。こんなどうしようもない
アイドルですら、センター争いが勃発。解散の危機に
直面する。果たして、夢の武道館に辿りつく事が出来るのか?
ただでさえ、どのキャラクターも個性がきつくて非常に
笑えるのに、その彼女らが超真剣に凄まじいバトルを繰り
広げるのだから、笑いはますます増幅していく。
「女の子はたくさんの夢を背負い、追いかけ、信じて生きて
いるんだと思います」(「ご挨拶」より抜粋)。根本はこう語る。
そんな女の子たちの夢の中で今最も多いのが「アイドル」
なのだろう。家柄や才能が無い何者でもない普通の女の子が、
他の誰でもない唯一無二の光り輝く何者かになれるのが
人気の理由なのかもしれない。
だからアイドルの夢を一途に必死で追いかける一人一人に
激しく燃え盛る「ドラマ」が生まれるのだ。それは一人一人が
主役のドラマ。どんなに小さく世間に全く知られていない
アイドルにも紛れもなくドラマがある。ドラマある
ところに生き様あり。ドラマが激しければ激しいほど生き様も
強烈さを増す。
根本が大好きな前田敦子がAKB時代、過呼吸で意識が朦朧と
しながらも舞台に立ち続けたのも、前田敦子の生き様。
嗣永桃子が男の芸人にボコボコにされても「許してにゃん」と
ぶりっ子キャラを貫き通したのも彼女の生き様。両者とも
生き様、自分なりの筋を通している。そんなもの
見せつけられたら、アイドルに詳しくない拙者ですら
「あんたすげーよ。凄すぎるよ」と言うほかない。
一方、ちっぽけでどうしようもない
スーパーマーケットアイドルの7人。7人の言動は、
他人からは滅茶苦茶で常識外れだとレッテルを貼られる
かもしれないが、各々の心の中ではちゃんと筋が
通っていて、真っ直ぐで、己の信念を貫いている。
生き様をこれでもか!と見せつけている。
それが超カッコイイんだ!やっぱこの7人も
「あんたすげーよ。凄すぎるよ」と
叫びたくなるのだ。叫ぶ代わりに手拍子しちまったよ。
拙者が観た回は、高校生ぐらいの女の子の客が結構いた。
彼女たちはこの劇を見てどう感じたのか?「面白い」
「共感できる」って他に「根本さんのお芝居に出たい」とか
「根本さんのように演劇を作りたい」と夢を抱く人も
いたのではなかろうか。「根本さんは私のアイドルです」。
そう思った人がいても全然不思議じゃないほどのお芝居だった。
根本は言う「私に私以上に面白い企画を持って来てくれる人に
出会うまで、私は自分の演劇にすべてを捧げ続けます」(演劇サイト
「コリッチ」より抜粋)と。この作品は観客に、当分の間
そんな人間には出会えそうにないと思わせるほどの快作だった。
超カッコイイ。これが彼女が今、
背負い、追いかけ、信じている夢そのもののような気がする。
この言葉に裏づけされた彼女の生き様に、
「あんたすげーよ。超超凄すぎるよ」と叫びたくなるんじゃい!