蟻と太陽 公演情報 兎団「蟻と太陽」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    少し欲張ったような
    「島原の乱」をモチーフの中心にした歴史劇...もっとも脚本家・能登千春 女史は、歴史パロディという分野の芝居だという。しかし、その描き方は多重構成による重厚感を意図しているように感じた。本筋の歴史物は現代への警鐘が聞こえるような内容で示唆に富んでいるようだ。このプロト・シアターという小さな空間に「島原の乱」の緊迫・戦闘と悲しみが広がる。歴史劇ではないと説明(当日パンフ)しているが、しっかりと調べている。それゆえ物語が骨太に観える。
    公演全体としては欲張ったもので、訴えたかったテーマが暈けたように思えた。

    ネタバレBOX

    キリスト教迫害・弾圧、今では考えられない蛮行を行った幕府...その為政(者)の在り方が問われる。そしてキリスト教への仕打ちを現代日本の人権と平和に置き換えた時、足元の危うさが透けて見える、そんな強かな投げかけをしている。その象徴するような台詞、「戦わなければ、心は腐る(朽ちる)」である。そして戦いに直接参戦せず後方支援だけでも参戦したに等しいと…どこかの国の論議に似ている。そのような問題提起をあちこちに散りばめており、社会性が垣間見える公演でもある。
    その舞台セットは、木箱が数個と衝立一つという簡易な作り。しかし、城の攻防など臨場感ある観せ方になっていた。

    さて構成が、現代(学生時代)、過去(島原の乱)と地球外生命体(宇宙人)を登場させるが、そこまでの壮大さはいらない。現代・過去の二局面で濃密な台詞の応酬があったほうが印象的だと思う。
    宇宙人が俯瞰するようであったが、地に足をつけ、しっかり見届てほしい。
    その後の天草四郎は、弾圧・迫害されていた殉教徒は、明治時代へスルーすることなく、虐げられても生き続ける人々を見る、そのような強かさがほしいところ。
    骨太な作品であるが贅肉もあり、それを削ぎ落としシャープな観せ方へ…ハロウィンのような髪飾・被り物の宇宙生命体の描きは必要ないと思う。

    次回公演も期待しております。

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    2015/10/25 21:55

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