満足度★★★
被害者家族の肖像
開演前から舞台袖にある二つのモニターで、死刑制度に賛成か反対かのインタビュー映像が流されている。この舞台が死刑制度をテーマにしているからなのだが、戯曲の中核を成すものは、被害者家族の「ある選択」だ。
死刑は何のためにあるのか。犯罪の抑止か、それとも究極の「償い」か。それとも被害者による復讐の姿なのか。犯人は死んでも、殺された大切な人は戻ってはこない。大切な人であればあるほど、家族が究極の選択に走る可能性はあるだろう。
細かいところに異論はなくもないが、よく練られた台本だと思った。
追加:舞台とはあまり関係ないけれど、前説で「携帯電話の電源を切って」のアナウンスがなかった。そのためかどうかは分からないが、上演中に携帯電話の画面で時刻を見ているマナーの悪い客がいた。せっかくのいい舞台だったのに、とても残念。