ゴースト・ゴースト・ゥライター 公演情報 東京パイクリート「ゴースト・ゴースト・ゥライター」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    物書きがいる!
    怒涛の台詞が鍛えられた役者陣から繰り出され、
    シチュエーションだけに頼らず脚本の面白さでも大変楽しめた。
    職業人の裏話と悲哀に支えられながらカラッと明るい。
    舞台が大きく動くのは中盤からだが、前半の振れ幅の大きい演技が
    中途半端でないことが、後半の展開を支えている。
    内海詩野さんとさわまさしさんの掛け合いが絶妙で素晴らしい。

    ネタバレBOX

    中央に大きなベッド、下手にはソファ、上手に細長い机、机の上には書類の山。
    ここは古いホテルの一室で、脚本家の千葉真(内藤羊吉)がカンヅメになっている。
    最後の章が書けなくて悩んでいる彼の元へ、催促にやってくる編集者堂本(加藤玲子)、
    歴史家(?)の江沢(用松亮)、そしてず~っと以前からここにいる地縛霊が二人。
    なかなか書けない千葉ちゃんを助けようと
    元物書きの地縛霊たちが立ち上がるのだが…。

    当日パンフにあるように「楽屋」を“女優”から“脚本家”に置き換えたという作品。
    これが、コメディに徹することで全く違うものになった。
    まず地縛霊の強烈なキャラが面白い。
    地縛霊安孫子(さわまさし)と馬場(内海詩野)の二人の明治か大正のようないでたち、
    “眠っている人の身体を借りて自分が書いてやろう”と言い出す安孫子と
    “色恋”しか書けない馬場の、
    ズレながらもテンポ良く交わされる会話が楽しくて引き込まれる。
    バカバカしい会話なのに勢いがあって無駄がない、この脚本が大変面白い。

    平凡な脚本家の男が、死者と対話することで自分の“逃げの人生”を振り返り、
    人生をやり直す前向きな方向性が明るくて心地よい。
    そもそも地縛霊や、死の床にある作家の代わりにゴーストライターが書く、という設定が
    十分重いのだから、そこで泣かせなくてもベースには既に悲哀が横たわっている。
    ゴーストたちが何気に口にする台詞がまたいい。
    欲や世間に翻弄される生者が見失っているものを、さらりと提示してくれる。

    欲を言えば、安孫子と江沢と本当の作者(名前忘れました)の3人が
    見た目もキャラも近かったかな、と言う気がする。
    全く違うキャラ設定の方が、憑依が明らかでより面白かったと思う。
    編集者堂本に憑依した時も、もっとジイサンと若い女性の振れ幅が大きい方がいい。
    声を変えるのは大変かもしれないが話し方で変化はつけられる。
    そのあたりの工夫がされたら、もっと爆笑が起こるはず。
    せっかくのこのアイデアと脚本、更なる進化に期待したい。

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    2015/08/20 22:11

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