人が流されていく川 公演情報 The Stone Age ブライアント「人が流されていく川」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    「安楽死施設」が実現するかもね。
    近未来の設定である「安楽死施設」での物語。現在の道徳観では殆ど認められないであろう自殺志願者を安楽死させてくれる施設だが、
    自殺に伴う苦痛、恐怖からの開放。
    電車に飛び込んだり、ビルから飛び降りたりした時の周囲への迷惑。
    それに、誰が考えても理解できる、その人の将来への絶望的な展望。
    更に、死を選ぶことの個人の自由、尊厳。
    などを考慮するとひょっとすると、将来、2050年とか2100年ぐらいでは存在するのかもしれないなぁと観覧しながら考えた。
    この場面設定の凄さにまず引き込まれた。初見の劇団の公演だったが、鮒田氏の作品はこのようなテーマが多いのだろうか?
    (あとはネタバレに記載)

    ネタバレBOX

    しかし、劇中での救いは、自ら命を断つことへの否定が織り込まれていたこと。
    「死にたい」という言葉は「助けて」ということなんだという台詞や、藤岡豊さんが演じるサラリーマンが自殺したことに対する主人公、堤あおいに対する皆の非難、自殺したと思っていた神田さくらの妹が川に流されながら「助けて」と叫んでいたことを愛ちゃんが吐露する場面。
    それらに「自殺病棟」に対する否定を感じられ、救いを感じた。

    坂本祐祈さん演じる自殺志願の患者、早瀬のバックグランドが説明不足で分かりにくかった。舞台の最初と最後に登場して、この舞台の重要な役割を果たしているのだから、彼女が死のう考えた背景をあとワンシーン作ってでも説明されていると更に良かったのかも知れない。(美人ですしね)
    橋本亜紀さん演じる愛ちゃん。演技力は素晴らしく観客の注目を一点に集めていたが、何故にあの派手で奇っ怪な衣装(白長靴は缶詰工場で理解できるが)と大きな叫び、派手なリアクションが必要なのか、理解に苦しんだ。最後の吐露を引き立たせる為には別のキャラクターの方が良かったのではと感じる。
    主人公、堤あおいを演じた宍泥美さんの迫真の演技。この舞台を引っ張っていく主人公の悲しい強さを十分に表現されていて、とても良かった。
    最後で宍泥美さんと坂本祐祈さんが取っ組み合ったまま、舞台がフェードアウトして芝居が終わるシーン。エンディングとしてとても良かった。「いらん子は川に流す」台詞が心に残った。

    いろんな想いを考えさせてくらた鮒田氏の次回作への期待が膨らんだ今回の公演であった。

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    2015/08/14 09:08

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