満足度★★★★★
ルヴォーにみせられた
デイヴィッド・ルヴォーにまさにしてやられた感じでありました。劇場に入った瞬間その中はいつものコクーン劇場とは装いを一変、奇妙に正方形に囲まれ天井まで幕で仕切られた空間が中央にあるという異様な光景。その幕の中で何が始まるのかと観客を始まりまで楽しませてくれました。芝居の中で考えさせられた“静寂”。同じ“静寂”でもこれほどまでに表情を変えることができるのかというほどに“静寂”を巧みに使っていてとても勉強になるものがありました。芝居は基本的に動くものであるのですが今回の芝居感じたのはまさに“静”の芝居。“静”というものがいかに芝居に刺激を与え感情の起伏を作るものなのかを考えさせられました。また、最後の色彩の効いたコントラストの演出には感激しか言いようがなかったです。夫婦の別れのシーンの際ふたりがモノクロの衣装でかつ白い階段を登り去っていくノラの様はそれだけでもなんとも言い難いものがあるのですが、客席上部にノラが光の中に去っていくノラが印象的でまた、光の見えるドアをあえて閉めず残された夫ヘルメルの虚無感を出すその描き方が非常にすばらしかったと思います。