満足度★★★
演技陣に拍手
先ず、大星誠之助のことを知らず、調べもせず書きます。(この作品からの情報のみで)
作品を観終わってまず思ったのは、何を言いたい脚本なのかよく解らなかったな?という事でした。
「大逆事件」の判決の悪意なのか、そもそも「大逆事件」そのものが時の権力者がでっち上げた物だといいたいのか、「大逆事件」を題材として平等を目指す大星氏の生き様を(好意的に)描きたかったのか…?
どれにしても書き切れていない本だという印象は拭えなかった気がします。
<平和><平等>というテーマをもっと掘り下げて欲しかった。個人的には。
その為には、時の権力の無法をきちんと描く必要もあった筈。
この作品の警察署長や町会議長はとてもコメディタッチに描かれている。
一見、<悪>が存在していないようだ。
のどかなN町のちょっとした異変を描いたという印象だが、終盤、急に司直の手が及ぶという展開になる。
その間の描き方が不十分。
しかし、演技陣の素晴らしさには大拍手。本への不満を大方帳消しにしてくれる。
役を客観的に見つめた上での演技であり、まさに地に足が付いた芝居を見せてくれる。
演劇鑑賞という視点で云えばお薦めの作品だ。