8・12〜白球〜 公演情報 劇団裏長屋マンションズ「8・12〜白球〜」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    人情劇の王道
    1985年8月12日の御巣鷹山に墜落した日航機事故を題材にした人情劇…。
    終演後の座長(赤塚真人さん)の挨拶、毎回その話に感動させられる。今回はこの事故で親友を亡くしており、その無念さが滲んでいた。「いつ、どのような事で亡くなるか、それは突然起こるかもしれない。(後悔しないように)日々を生きる」と...。ちなみ1年前の公演「同居人」では、ヨットで太平洋横断した堀江謙一氏の言葉を引用し、「孤独は耐えられても孤立は耐えられない」と。どちらも痛みを知った言葉である。本公演は、.現世への未練・想いを笑いと涙で観せる、人情劇の王道である。

    毎回この劇団の舞台セットは見事に作り込んでおり、今回もスナックの雰囲気(上手にカウンターとスツール、下手にソファーセット、舞台中央奥にもテーブル席)を作り出していた。そんなスナックに集まる人々は...。

    ネタバレBOX

    飛行機が墜落するまでの時間(ダッチロール中)、現世への強い思いを抱いた。その結果、墜落するまでと同じ時間を他人の体に憑依して思いを遂げる。自分の息子は高校野球で甲子園に出場を果たしたが、父親の墜落事故の報に現地へ赴いた。その現場でみた凄惨さにショックを受けるとともに、甲子園での活躍の場も失った。その原因が親友でありチームメイトの企み(レギュラー争い)によるものであり恨みに思っていた。その後、自暴自棄になり結婚生活も破綻し娘を置いて家を出た。この男を再生させるため、関係者をスナックへ集めたのが、霊魂として憑依したこの男の父親である。人情話であるから結果は当然ハッピーエンドである。

    さて、公演の話から逸れるが、墜落事故より3年ほど前の1982年。日本で活躍していたアメリカのカメラマン、ブルース・オズボーンは当時流行だったパンクの若者を撮影していた。そのパンクの若者と彼の母親を被写体として「親子」の写真を撮影し、それがライフワークになった。その後、バブル崩壊で時代は急激に変化し、少子化が社会の問題となってきた。オズボーンが「親子の日」を提唱し、2005年に日本記念日協会が5月「母の日」6月「父の日」、そして7月の第4日曜日が「親子の日」に...。

    居るのが当たり前と思っている親、もしくは子...しかし、明日はどうなるか分からない。多忙な日々を過ごす、そんな時だからこそ親子について、そして生きることについて考えたいと思わせる、そんな好公演であった。

    次回公演も楽しみにしております。

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    2015/06/17 00:00

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  • ご感想まことにありがとうございます。
    劇団裏長屋マンションズです。
    貴重なご意見、また本当に丹念にご観劇くださり心より感謝申し上げます。
    昨年の終演挨拶の内容までご記憶いただいていたとは、嬉しい限りです。
    これからも、よりブラッシュアップを重ねさらにお喜びいただけるような作品作りに臨んで参ります。
    このたびは、誠に有難うございました。

    2015/06/23 02:35

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