満足度★★★★★
やっぱりモンスター劇団
今公演2回目の観劇。
完成度の高さが感じられる舞台だった。
繊細で美しい照明の中、語り部たち一人ひとりが日々変化し進化している。
例えばゴベリンドンが己の罪を語ったのちの苦痛に歪んだ姿と咆哮。
17ステージ目にして声の枯れもなく、この物語の核となる“絵”を強烈に焼き付ける。
おぼんろ、やっぱりモンスターだ。
個々の場面のクオリティが深化&進化している。
先に述べたゴベリンドンの苦痛と咆哮の場面、「俺は死ねないんだ」という叫びが
観る者を息苦しくさせるほど迫ってくる。
ゴベリンドンの襲撃に失敗して怖気づくザビーに対し、
畳みかけるようにシグルムの葉を投げ落として彼女の欲を刺激するトシモリが
ちらりと狂気の入り口を見せるところ。
てるてる坊主のような死体がザビーの手によって
無造作に深い穴へと落とされていく場面の妙にリアルな手触り。
個々のシーンの濃度が増しているだけに、気になる部分がより浮上した感がある。
走り回るタクマのバタバタという足音や、無垢で幼いキャラ設定、
ちょっと台詞が流れてしまった弁士のシーンなど…。
だが「ゴベリンドン」は、それらを補って余りある圧倒的な世界観を表出して見せる。
この唯一無二の世界観は最強だと思う。
この完結した世界観を前にすると、私の好みなどどうでもよくなってしまう。
私は5人が作り出した世界に浸りたくて劇場へ向かう。
あの5人が無我夢中で目指すものを見たくて客席に座る。
ただのファンであることの幸せを感じながら、もう次を楽しみにしている。