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公演情報 三日月バビロン「アルカディアの夏～日付のない部屋～」の観てきた！クチコミとコメント

• coffeecandy（7）

  満足度★★★★★

  繊細な力強さにあふれた良作
  期待を裏切らないオンリーワンの作品世界。櫻木バビさんの脚本のもつ繊細な力強さにあふれた良作。
  作り込みが丁寧な劇団さんなので、どうなるの？これは何なの？とはらはらして観ていても、ラストにはちゃんと心地よい暖かさが待っている。何度か拝見した作品は、全ての謎が解明したときに鳥肌が立つような思いがしたのですが、今回はネタバレが（この劇団さんにしては）早め。でもそれが、主演の木原さん演じるルウ少年の複雑に揺れる心情にピントを絞ってくれて、周囲の人々との関係や個性が際立ったと思う。

  ネタバレBOX

  主演の木原さんが特に良かった。圧倒的なセリフ量の全部が胸に響いた。賑やかなシーンでの子猫のように元気な愛らしさとクライマックスでの胸を打つ叫び。ぎゅーっと抱きしめたくなる切なさ。複雑な役の心情を丁寧に演じて作品の全部の点と点をつなげて「疾走」していたと思う。いつも泣かせてくるのはこの人、と用心してみてるのに、今回もやはりやられた。
  いつも拝見するのを楽しみにしているベテランメンバー的な方々が今回出てないので、ちょっと物足りないかも…と思いながら見に行ったのが、少年物の初々しさ際立つ感じで作品にピッタリはまったキャスティング。制服をイメージした衣装をそれぞれが役に合わせて個性的に着こなしていたのも印象的。きりっとかっこよく、大人しく子供っぽく、いかにもワルガキ少年風にと、当たり前のことかもしれないがそれが徹底されていて好印象。学園物というとコスプレっぽくなる劇団が多い中、役作りの丁寧さがこういうところでも良く解って安心してみていられた。
  終演後に、初演を見た友人から以前のキャスティングをきいて、それを見逃したことに非常に後悔したのも事実だが、少年物としての完成度は今回の方が際立ったのではないかと思う。
  
  しかし毎回、ここの作家の頭の中は一体どうなってるんだと思う。にぎやかしシーンのネタが超物理学（笑）。そうかとおもえばおとぎ話。そうかと思えばエロ話。引き出し広いな…。ナビ役さんお疲れ様でした。会場をフルに使い、仕掛けももりだくさんにあって楽しめた。
  
  脚本が読みたい、と思うのは私だけではないはずだ。ネタバレしたあとにもう一度見に行きたいと思う劇団はあまりない。構成力に定評のある作家だが、それももちろんだが、一行一行思いが溢れてるから構成が生きるんだと再認識。空疎なセリフがひとつもない。それも当たり前なんだろうけど、その当たり前ができる劇団や作家は数少ないと思う。
  

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  2015/05/30 09:09

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